これからの商売(6):コンビニ
2017.12.19
「これからの商売」としてコンビニを取り上げるのは「おかしい」と思われるかもしれませんが、「これからのコンビニの行く道」と置き換えて読んでください。
米国で始まったコンビニエンス・ストアという商売を日本に持ち込んだのは、セブン・イレブンの前会長の鈴木敏文氏です。
1974年5月、東京の豊洲店が第1号で、最初に売れた商品はサングラスだったということです。
それから43年、コンビニの店舗数は6万に迫っています(2017年3月末)。
経済原則からすると、5万店舗が限界と言われていましたが、軽く超えてしまいました。
つまり、経済原則を無視した増え方をしているということです。
そこで、一店舗あたりの人口を計算してみました。
予想以上に地域差が大きく、一番少ない東京都が1,767人、一番多い奈良県が3,086人という結果でした。
人口密度を考えればこの開きは当然の結果ですが、この程度の市場規模でコンビニの経営が成り立つということです。
しかし、コンビニ各店の経営は苦しくなっているのは確かです。
過当競争の次元に入ってきたといえるでしょう。
日本より一足どころか二足早く過当競争に入っているのは韓国です。
なんと国全体の統計で、1店舗あたりの人口は1,491人というから驚きです。
当然、店舗の平均売上は、日本の1/4程度となり、経営は四苦八苦です。
韓国のコンビニ1号店は、1989年5月ですから、日本に遅れること15年。
ですから、超短期で急成長したわけです。
理由としては、日本より規制が緩いことと低資金で開店できることが大きいと言われていますが、特徴的なことは深刻な就職難が影響していることです。
就職が難しいので、「ならば、コンビニで独立しよう」とする人が多いというわけです。
たしかに、20代、30代の若いオーナーが多いことからも、その理由が頷けます。
だが、日本より遥かに早い過当競争の到来で、遅くとも4~5年後は倒産が相次ぐだろうと言われています。
そうすると、若い世代にとっては真っ暗な時代となるわけで、暴動が起きかねないと心配する向きもあります。
さて、こうした韓国の後追いが懸念されている日本ですが、日本のコンビニは韓国より遥かに先を見て戦略を練っています。
「業界第2位のファミリーマートがフィットネスに参入」という記事がありましたが、他のコンビニも他業種への進出、あるいは他業種と組んでの複合ビジネス化の道を取り始めています。
「物を売る」ビジネスが「物とサービスの複合商品を売る」という複合ビジネスに変化することが、次の目指すべき経営の一つであることは確信できます。
次号では、弊社も取り組んでいる既存ビジネスの複合化についてお話ししましょう。