これからの商売(2):怪しい商売(前半)

2017.07.24

「これからの商売」の第2弾は「怪しい商売」です。
これは、「これから・・」というより、「これまでも、これからも・・」の商売ですね。
 
たぶん、多くの方が感じていることだと思いますが、「儲かる仕事」は、どこか「怪しい仕事」であることが多いものです。
例えば「水商売」ですが、うまくすれば「とても儲かる商売」ですが、「怪しい商売」であることは否定できないでしょう。
 
本メルマガで何度も言及したように、私の商売の原点は19歳の時の「水商売」です。
大学に進学した時に直面したのが、実家の商売の破綻危機でした。
父が始めた水商売が儲かるどころか「赤字続き」で破綻寸前に追い込まれました。
このままでは大学に通うどころか、夜逃げだと考えた私は、自分が店に入ることで店を立て直すことを両親に提案しました。
頭を抱えるだけで判断能力を失っていた父は何も言いませんでしたが、母は同意してくれました。
 
まったくの素人だった私には水商売の知識は皆無でした。
とりあえず皿洗いでカウンターに入った私は、とにかく水商売の現場を観察し続けました。
特に、お客とホステスおよびバーテンとのやり取りを意識して観察しました。
その結果、お客には2つの大きな動機があることが分かりました。
一つは、ホステスの女の子との擬似恋愛です。
この動機は、読者のみなさまには、すぐにわかりますね。
お客様として、そうしたお店に行っておられる方も多いでしょうから・・(失礼!)
 
もう一つは、話し相手が欲しいという欲望と悩みの解決策を求めるという欲望です。
こうしたお客は、カウンターへ来てバーテンに話し掛けてきます。
両方に共通しているのは、質は違えど「欲望の開放」です。
ゆえに水商売は「怪しい商売」なのです。
 
私は、この2種類の「欲望の開放」を利用して「儲ける」手段をいろいろ考えました。
まずは、もちろん、店の女の子の能力の活用です。
美人の子がモテるのは当然ですが、それだけの子はダメです。
褒め言葉の定番に「かわいい」という言葉がありますが、実に幅の広い言葉です。
その要素は、容姿だけではありません。
カウンターの中から冷静に観察していると、一番の美人が一番モテるわけではないことがすぐにわかりました。
往々にして、美人は自分が黙っていても“モテる”ことを知っていますから、サービス精神に欠けるきらいがあります。
そうでない子のほうが一生懸命に努力するので、案外にお客の指名が多くなるのです。
うまいことに、クラブやスナックなどという場所は照明を落としていますし、お客も酔っています。
素顔がイマイチの子でも、化粧一つで美人に変身できます。
その上、一生懸命に客の気を引きますから、お客も楽しくなります。
こうした子は「ウソの会話」も得意なのです。
お客が喜ぶウソや気を引くようなウソを平気で言えるのです。
素顔も素性も知っている私からすれば「ほとんど詐欺だな」って思っていました。
そうです。
儲かる商売は、どこか詐欺っぽいのです。
物質的に満たされた現代における「これからの商売」のヒントの一つは、「怪しい詐欺っぽい商売」なのです。
後半(次回)に続きます。