純粋な軍事の話(4)
2019.03.04
今後の日本の防衛を考えると、最大のリスクは「中国を後ろ盾とする統一朝鮮」の出現である。
そのときには在韓米軍は全面的に撤退していることになる。
日米同盟は存在しているであろうが、米軍に頼る今の枠組みではなく、対等な同盟関係に進化している必要がある。
もちろん、野党や平和団体は猛反対するし、読者の中にも眉をひそめる方もいらっしゃると思う。
ですが、本項は「純粋な軍事」の話なので、その認識で読んでいただくことをお願いする。
さて、日本を取り巻く国際情勢が、そのようになったとき、日本の西と北は、価値観も政治体制も異なる国々ばかりになる。
つまり、日本が自由主義国側の最前線となってしまう。
かつ、台湾を守るという意味で重要な役割を担うことになる。
沖縄を中心とする南西諸島は、その中で前線橋頭堡となってしまう。
中国は、現在、原子力空母を建造中だが、2030年代に6艦保有する計画である。
米国は原子力空母を11艦保有しているが、西太平洋に展開できるのは最大で4~5艦隊と言われている。
つまり、勢力は逆転するというわけである。
こうした事態を前に、日本はどう米国と連携を取るかということが、これからの日米安保の主要議題となるであろう。
日本が原子力空母を保有するのは現実的ではないが、通常型の正式空母を保有して、米中の戦力差を埋めるという要請は強まってくるであろう。
さらに、軍事的要素で、これから重みを増すのが、対艦ミサイル網の整備と潜水艦隊の増強である。
質的能力において、原子力艦を持たなくても日本の潜水艦は世界でも一級の能力を有する。
ただし量においては全くの不足である。
現在の16隻を20隻以上にすることが防衛大綱で決まっているが、それでも中国の1/3から1/4である。
米艦を足して、ようやく半分ぐらいと考えたほうがよい。
兵員の質に関しては、私の僅かな経験からも日米の優秀さは際立っていると確信できる。
しかし、それでも量の不利を補えるのは2倍までといえる。
つまり2030年代に、西太平洋において日米対中国の潜水艦隊の戦力は拮抗するということである。
しかし、平時はともかく実際の戦争となった場合は、潜水艦だけの戦いではなくなる。
水上戦闘および航空戦闘が大きな要素となる。
この点、量においては、同様に中国の優位は動かない。
となると質の問題だが、中国軍の艦艇や戦闘機の技術能力は正直、よく分からない。
報道やネットで伝えられている情報では、米軍に匹敵するのではと言われているが、それは誇張された情報に過ぎない。
兵員の質においてもである。
かつてのソ連の軍事能力も、同様に誇張された情報が日本で肥大化していた。
しかし、私が入手できたアングラ情報からは、ある程度、その実態が見えていた。
そこから見える純粋に軍事的な要素については、次回、解説する。