抑止力という名の軍事力(22)
2022.03.01
前回、「中国の軍事挑発は、米軍が介入しない“だろう”と見込まれる範囲となるが、こうした局地戦での中国海空軍の力量は自衛隊に劣ると推定される」と書きました。
しかし、中国軍の軍事増強は急激であり、ロシアと組んでの挑発も考えられるため、そう安心もしていられない情勢です。
そうした中、2つのニュースが目を引きました。
そのひとつは、沖縄県石垣市の中山義隆市長が、1月31日、民間船で尖閣周辺海域を訪れ、海上から島を視察したというニュースです。
尖閣諸島は石垣市に編入されていますから市長の視察は当然なのですが、その際、中国海警の船が2隻、領海侵犯し、脅しを掛けました。
それに対し、海上保安庁の巡視船が8隻で視察船を防御しました。
2対8という数的優位が物語るのは、これが中国の意表を突く視察だったということです。
こうした視察を続けることの意義や意味は大きいですが、情報漏えい防止の徹底が大事です。
情報が漏れ、数的優位性を中国側に取られると日本のダメージは大きくなります。
情報戦でも優位に立つことが肝心ということです。
ふたつ目は、敵基地攻撃論に対する立憲民主党の泉健太代表の以下の見解です。
「相手に打撃を与えたら、その後に総反撃を受ける」
正直、「はあ~、なに言ってんの、この人は・・」と思いました。
この党に政権運営を行う力のないことを露呈したと言える発言です。
自国を狙う敵があれば、敵基地を攻撃する意志と能力を示さない限り、敵からの挑発は止まず、本当に攻撃を受けても反撃すら出来ないことになります。
泉代表には失望しかありません。
沖縄において、米軍のコロナ対策の緩さが問題になっていますが、現行憲法の縛りがあり、米軍に防衛を委ねている現状では、文句も言えない状態です。
米国との軍事同盟を後方支援策として残し、米国に頼らず日本の領土・領海を守るための軍事力を備えない限り、沖縄の問題は解決しません。
沖縄が日本から独立し中国の傘下に入るというのであれば情勢は劇的に変わるでしょうが、沖縄県民がそれを望んでいるとは思えません。
今年の参院選では、各党の防衛問題に対する見解をはっきりと聞きたいものです。
戦争抑止力としての集団的自衛権に対し、立憲民主党や共産党などは反対の立場です。
たしかに、集団的自衛権を行使しようとすると戦争に巻き込まれる危険は増します。
これはデメリットです。
しかし、行使できることで敵対国が戦争を仕掛けることを躊躇するメリットもあります。
このデメリットとメリットの秤をどうコントロールするかが政治です。
かつ、コストパフォーマンスの良い抑止力としての自衛権を考えることも重要です。
次回、そのことを論じようと思います。