日本の世界における役割とは?(4)

2024.05.16


今回は、前回に続き、剣法の奥義に基づく「必殺技を持つ専守防衛」で日本を守るについて考えてみたいと思います。
専守防衛を「こちらから攻撃は仕掛けず、守りに徹する」という意味に解釈すると、それで果たして守り切れるかが問題なわけです。
攻撃する側からいえば、相手は決して攻撃してこないのですから、「自分がやられる」という危険が無く、かなり気楽に攻撃できることになります。
こうしたことが成り立つのは、守る側の戦闘能力が攻める側の戦闘能力を圧倒的に上回っている場合です。
小さな弟が大きな強いお兄ちゃんに喧嘩を仕掛けても敵わないような図式ですね。
ですが、この図式は、弟が強いお兄ちゃんから、いきなり蹴っ飛ばされても反撃できない状況だといえます。
つまり、弱い者は、悪くて強い者に対しては「泣き寝入り」しかないということです。
現代の東アジアでは、中国がこの「悪くて強い者」です。
 
深く仏教を信仰しているチベットは、ダライ・ラマという指導者に率いられた独立国家でした。
チベットは、仏教の教えを守っていれば幸せになれると信じて、ほとんど軍隊を持たない平和国家でした。
あえて言えば、「憲法9条が目指す平和国家」だったのです。
そこに攻め入った中国人民解放軍は、幼稚園に乱入した暴漢のごとく、あっという間にチベット全土を制圧し、自国に組み入れてしまい、今もって弾圧を続けています。
同様にして、中国はウイグル、内モンゴルを侵略し、自国領土に組み入れてしまいました。
戦前の旧満州(現在の中国北東部)は中国の領土ではなく、多くの軍閥がバラバラに支配する無政府状態の土地でした。
日本は、そこに傀儡の満州国を作り自国版図にしたわけですが、その日本が戦争に負けたことで、中国は漁夫の利で満州全土を手に入れたわけです。
これらは、すべて第二次世界大戦後のことです。
 
日本国内でも、かつて独立国だった「琉球王国」は、徳川時代に島津に制圧され属国とされ、明治になり沖縄県として日本に編入されて現在に至っています。
それゆえ、もし沖縄県民の大半が、かつての独立国に戻りたいという意思を示すなら、日本国としては認めることが筋だと思います。
もちろん、他国の干渉なしの完全なる自由投票が必要で、独立した場合は自力で経済、防衛の仕組みを作るということが前提となりますが・・
 
話を戻します。
「専守防衛における必殺技」とは何かということですが、まず頭に浮かぶのは核兵器です。
現代における「必殺技」として、これ以上の武器はありません。
そして、この武器が日本を敵視している隣国に効くことは確実です。
しかし「専守防衛における・・」というところが引っ掛かりますね。
隣国の攻撃意図に関係なく、いきなり先制攻撃にも使える必殺武器だからです。
北朝鮮が、まさにこの思想で核武装しているわけですが、日本が同じ道を歩むことはできません。
 
妥協策として考えられるのは、「有事の際、米軍から核兵器を受け取る」という策です。
「なるほど」なのですが、この場合、主導権を持つのは日本ではなく米国です。
「ダメ」と言われる可能性も、必要なくとも「持て」と強制される可能性もあります。
実は、冷戦時代、これに近いことが実際に行われていました。
20代の頃、その実態を知る立場で仕事をした経験がありますが、「これは実際の戦争なんだ」という痺れるような感覚は、今でも残っています。
 
「ならば、どうするか」ですが、日本の代表的な剣法の奥義にそのヒントがあります。
次回は、その話をしたいと思います。