抑止力という名の軍事力(23)

2022.04.01

ロシアによるウクライナ侵攻は、日本に「現実問題」を突き付けているといえます。
「憲法9条で国が守れるのか」という命題が論争になっていますが、意味のない論争です。
共産党の志位和夫委員長がいみじくも言ったとおり、憲法9条は「日本が他国を攻めない」ための鎖(くさり)です。
かつて、「駐留米軍はビンのフタ」と発言した米軍司令官がいました。
まさに、駐留する米軍は日本に対する抑止力であるという米国の本音を吐露したわけです。
憲法9条は、この主旨にそって米国が制定したもので、日本が侵略戦争を起こさないようにするための鎖なのです。
 
つまり、他国からの侵略に対しては、憲法9条はまったく意味をなさないのです。
防衛戦すら「ダメ」と言っているのですから、全面的に米国に頼るしか道はないのです。
日本が真の法治国家を目指すのであれば、この問題をうやむやにせず、国会で議論を尽くし、現在そして今後の世界情勢を考えた上での法整備を整えるべきです。
 
憲法は、罰則規定のない「理念法」です。
国家理念は大事ですが、理念だけで国家は運営できません。
理念の対象は未来ですが、運営の対象は現実です。
その意味からすれば、現行憲法のままでも、現実への対処として軍隊を持つことは可能です。
しかし、未来には非武装とする必要があります。
それが可能な世界が来ることを願いますが、そこへの道はまったく見えません。
 
憲法改正への賛否の前に、法治国家として日本がどうあるべきか、現在と未来をどう生きていくのか、そして世界にどう貢献すべきか。
こうした議論を行う国会であって欲しいと強く願います。
今年の参院選をその一歩にできればと思い、一票を投じたいと思います。