2024年への展望(3):日本経済が上りきれない理由
2024.04.01
前項の続きとなりますが、ドイツの2023年の実質GDP成長率は0.3%減で、日本は2.0%増です。
つまり、ドイツ経済は下降状態にあり、日本経済は「少し上向きつつある」といったところです。
一方、インフレ率は、ドイツ6.6% 日本2.0%です。
「日本経済が良い方向に向かっている」とまでは言えませんが、「ドイツ経済は、かなり“ひどい“状態だ」とは言えそうです。
経済指標は、いろいろな角度から見て自分で分析しないと、本質を見誤る恐れがあります。
マスコミは、インパクトを与える側面だけにスポットライトを当てて煽るのが商売です。
その尻馬には乗りたくありませんね。
さて、国の経済政策をコントロールする役目を担っているのは、政府・財務省ですが、そのトップである鈴木俊一財務大臣の答弁は、常に官僚の作文を読むだけです。
腹が立つより「こんなんで大丈夫?」という心配が先に立ちます。
鈴木財務相は、よく知られているように、第70代総理大臣の鈴木善幸氏の子息です。
それ以外、功績らしい功績は思い浮かばない政治家です。
知識においても、財務や金融理論に関する自分なりの考えを聞いたことは皆無です。
(私が見落としているのかもしれませんが・・)
これからの厳しい時代をリードすることには、不安しか感じません。
ならば、もう片方の日銀に頑張ってもらうしかありません。
こちらのトップの植田和男総裁は、「超」が5つ付くくらいのエリートです。
東大の理学部を出てすぐに同大の経済学部から大学院へと進み、米国マサチューセッツ大学経済学部の大学院でPhD(特定テーマでの博士号)を得ました。
その後も、日本や米国の大学教授を経て、昨年、日本銀行総裁に就任しました。
学歴社会には疑問を呈する私ですが、ここまで凄い経歴だと、何も言えません。
ただし、日銀総裁としての評価はこれからです。
その学問的知識をどう活かしていくかが問われるわけです。
植田総裁は、マイナス金利を続けた黒田前総裁の路線をしばらく引き継ぐ形で政策金利の据え置きを続けてきましたが、昨年後半「1.0%までの上昇は容認する」との姿勢を打ち出し、すぐさま金利は1.0%に張り付きました。
金融界は、日銀が物価高などを問題視し、円安の是正に向けて動くと見ているようです。
その背景には、米国が金利を下げる方向に動き、そのタイミングで、日銀が「マイナス金利政策を見直す」と言えば、円買いが進み、円安から円高に振れると考えていることがあります。
こうした見方に対して、経済アナリストの森永康平氏は「日銀の愚策になる可能性が高い」と言及しました。
氏の論理を、以下にそのまま掲載します。
「マイナス金利の場合、民間の銀行は日銀に預金すると金利を取られる場合があるので、それならば企業に貸し出して金利をとろうと考えるんです。その流れがストップしてしまうと企業への貸し渋りが起きて投資が冷え込み、大変な状況になる可能性がある」
さらに「政府も日銀もバブルのトラウマがあるんです。少しでも景気が良くなるとつぶしにかかるところがある。ただ、バブルの時はわけのわからない上がり方でしたが、今の株価は適正価格。実際に欧米各国の株価は約30年間で数倍になっている」と続けました。
こうした見解に対し、一定の賛同はしますが、私の賛同率は40%ぐらいです。
森永康平氏は、著名な経済アナリストの森永卓郎氏のご子息です。
森永卓郎氏の講演やセミナーには何度か行きましたが、物事を言い切る口調で一定の人気がありましたが、予測の的中率は「20~30%ぐらいかな」が正直な感想です。
ある経済団体のセミナーで「消費税の増税はない」と言い切りましたが、それから半年も経たないうちに消費税は10%に上がりました。
以来、氏の話は聞かないことにしました。
でも、ご子息の康平氏が同じだとは思いませんので、これからの解説を聞いて判断したいと思っています。
一方、自民党の裏金問題に対する国民の批判の声が高まり、ついに国会の政治倫理審査会に旧安倍派の幹部が顔を揃えることになりました。
しかし、「大山鳴動して鼠一匹」の結果に終わりそうな気がしてなりません。
この問題、野党が徹底的に調べ上げ、表に引っ張り出したわけではないからです。
つまり、糾弾する野党側に決定的な材料が見当たらないのです。
それどころか、この糾弾の余波で、法人税や所得税、社会保険料の悪改定につながる恐れを感じます。
つまり、増税路線です。
今後、森永康平氏の見解も紹介しながら、税の動向、企業側の対処法などを解説していこうと考えています。