2024年からの展望(1):責任あるAIってなんぞや?
2024.07.01
前号までで「日本経済が上りきれない理由」は終えましたが、「2024年への展望」を「2024年からの展望」に変え、メインテーマはもう少し続けます。
テーマを「2024年から・・」に変えたのは、現在、世界レベルで起きている変化は2024年では終わらず、2025年以降、おそらく2050年まで続くからです。
その中で大きなトレンドの一つとなる「生成AI」の問題を最初のテーマに取り上げます。
「生成AI」は、10年前どころか数年前でも知っている人のほうが希少でした。
それが今では、この言葉を知らないという方は、ほとんどいないという状況です。
しかし、どこまで深いレベルまで知っているかとなると、かなり怪しいレベルの人が大半でしょう。
そもそも「生成AI」という言葉自体の定義が“あやふや”です。
AIとは「Artificial Intelligence(アーティフィシャル・インテリジェンス)」という英語の略語ですが、日本語では「人工知能」と訳されています。
ただし、現在、人間の脳細胞のような機能を持つ半導体は開発されていませんので、「人口知能」との言葉には抵抗を感じます。
それでも“ブーム”としてのAIの広がりは平原の野火のごとく広がりを増しています。
こうした情勢に危機感を抱いたG7各国(日本だけは“のほほん茶”ですが)は、こうした広がりに危機感を抱き、「責任あるAI」なる概念を打ち出し、規制を掛けようとしています。
しかし、この「責任ある・・」なる言葉で、さらに混乱が広がりそうです。
先ほど言及したように、真の意味でAI(人工知能)といえるコンピュータは存在していません。
すべてはソフトウェアの世界にとどまっています。
つまり、半導体で構成されているハードウェアを動かす言語の世界から一歩も出られていないわけです。
そこで第1回の今回は、そのソフトウェア言語を少し専門的になりますが解説します。
ハードウェアを構成している半導体を動かすのは電気ですが、電気を通す(on)と通さない(off)の2通りのことしかできません。
この2つの命令で構成されている言語が「0と1」の2進法の「機械語」です。
ここで、50年以上になる昔話をさせてもらいます。
私はNECのシステム事業部でSEをしていましたが、実際に「0と1」の「機械語」でプログラムを組んだ経験もあります。
長いテープに連続して穴を開けてプログラムにするのですが、穴が開いている箇所が「1」、開いていない箇所が「0」ということになるわけです。
もちろん、今ではこんなテープは使われていませんが、最終的には「0と1」の「機械語」でハードを動かしている基本は一歩も進化していないわけです。
量子コンピュータが実用化されれば、ようやく新たな次元に行けるわけですが、実用化まではまだまだハードルが高そうです。
それまで「0と1」の世界が続くわけですが、こうした原理を実体験した人は今ではほんの僅かとなっています。
そんな化石世代の生き残りの一人である私ですが、建設会社時代を経て現在に至るまで、ソフトウェアの開発から離れたことはありません。
それゆえ、現状のIT世界がいまだに化石時代なんだなと思う次第です。
次回は、ソフトウェアの進化について解説します。