小さな会社の大きな手(3):整合が取れない状態からの脱出法
2015.05.31
前号で、「現状維持では企業の存続が難しい」場合の打つ手のことを論じました。
そして、以下の2つの策を示しました。
1.人員整理を含む「縮小均衡」を図る
2.思い切った拡大策(新規事業を含む)に挑む
まともな策は「縮小均衡」であり、まともな経営者は、その策を取るべきです。
しかし、“まともでない”経営者は、あえて「拡大策」を採るかもしれません。
前号の最後で、そのような経営者のために条件を示しました。
以下に復習します。
----------------------------------------------------------------------------
明確な「拡大策(あるいは、新規事業)」の具体案を持っていることが条件です。
それにはマーケティングが欠かせません。
ここでいう具体案とは、マーケティング結果から導かれた案でなければなりません。
さらに、「小さいがゆえの限界」を、ぎりぎりの線で明確化することです。
人員の配置転換、外部からの支援、資金調達など、あらゆる要素の「ぎりぎりの限界線」を数値化することでもあります。
これを、様々に変えながら、マーケティング結果から導かれる「目標とする成果」と整合が取れるまで、事業シミュレーションを繰り返すのです。
実際に、実行したかの如く、緊迫感を持って数字を作っていくのです。
しかし、それでも、「整合が取れない」という事態に陥った時はどうするか。
拡大策を諦めるか、それとも、次の手をかぶせていくか。
まさに、ぎりぎりの経営判断が問われるわけです。
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さて、その続きです。
ここで、絶対にやってはいけないことがあります。
それは、「整合がとれないまま進む」です。
奈落の底に落ちていくだけです。
このような「八方ふさがり」の状況の打破に有効な道具が「兵法」なのです。
勿論、兵法は「勝ち易きに勝て」とか「優勝劣敗」とか「敗者の戦略はない」とかが主題となっていて、無謀な戦いを戒めています。
この原則は大事ですが、兵法は親切にも、その原則が崩れた場合の対処のことまで書いていてくれています。
それが「第七篇 軍争篇」です。
第六篇までの大きな意味での戦略解説から一変して、戦線が入り乱れる浮動状態からの脱出法が解説してあります。
戦国武将、武田信玄の旗印として有名な「風林火山」は、この軍争篇に書かれている4つの解決法の一つなのです。
では、この4つのポイントのエキスのみを解説します。
私の兵法の師である故武岡先生の解説を引用しています。
1.次々と発想を転換して効果を発揮せよという「風林火山法」
2.もの、特に新しいものを使って解決せよという「金鼓旌旗(きんこせいき)法」
3.他との連携、困難発生への調査と対策、新組織や他人を使えという「借刀(しゃくとう)法」
4.触らぬ神にたたりなしの君子危うきに近寄るなの「走為(そうい)法」
このままでは、「なんのこっちゃ?」かもしれませんね。
私は、実際には、このうちの2つを組み合わせたり、他の要素を加えたり、自分の創意で変形したりと工夫して使っています。
一番、即効で効果が上がるのは3番の「他との連携」ですが、失敗が多いのも事実です。
大事なことは、失敗を悟った場合は躊躇なく相手を切るべきという踏ん切りです。
次の連携の余力を残しておく必要があるからです。
トップが面子にこだわり、効果の出ない連携をいつまでも続けることが最悪の手です。
経営判断の意味さえ分からないと言っても過言ではないでしょう。
私は3割バッターを目指しています。
つまり、自分の打つ手の7割は失敗するという前提で、ことを起こします。
兵法を学び、徹底的に思考し、シミュレーションを繰り返しても3割がやっとなのです。
それらが欠けた策など、成功率は1割にも満たないでしょう。
先にあげた兵法の3番とともによく使うのが2番です。
ただ、私が使うのは「もの」ではなく「思考の軸」の追加です。
簡単にいえば、ナビゲーションシステムで使う「衛星」の数を増やすことです。
使う衛星が増えれば、ナビの位置測定は、それだけ正確になりますね。
それと同じです。
その問題に有効と思われる思考方法を、次々に加えていくのです。
「整合がとれない」状態から抜け出せる道が自ずと見えてきます。
実は、この反対の方法が「敵を破滅させる」戦法なのです。
三国志で名高い諸葛孔明が使ったと言われる「八箇の法」などは、この典型です。
それについては、物騒なので、解説は省きます。
次号では、具体的な例を紹介しましょう。
そして、以下の2つの策を示しました。
1.人員整理を含む「縮小均衡」を図る
2.思い切った拡大策(新規事業を含む)に挑む
まともな策は「縮小均衡」であり、まともな経営者は、その策を取るべきです。
しかし、“まともでない”経営者は、あえて「拡大策」を採るかもしれません。
前号の最後で、そのような経営者のために条件を示しました。
以下に復習します。
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明確な「拡大策(あるいは、新規事業)」の具体案を持っていることが条件です。
それにはマーケティングが欠かせません。
ここでいう具体案とは、マーケティング結果から導かれた案でなければなりません。
さらに、「小さいがゆえの限界」を、ぎりぎりの線で明確化することです。
人員の配置転換、外部からの支援、資金調達など、あらゆる要素の「ぎりぎりの限界線」を数値化することでもあります。
これを、様々に変えながら、マーケティング結果から導かれる「目標とする成果」と整合が取れるまで、事業シミュレーションを繰り返すのです。
実際に、実行したかの如く、緊迫感を持って数字を作っていくのです。
しかし、それでも、「整合が取れない」という事態に陥った時はどうするか。
拡大策を諦めるか、それとも、次の手をかぶせていくか。
まさに、ぎりぎりの経営判断が問われるわけです。
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さて、その続きです。
ここで、絶対にやってはいけないことがあります。
それは、「整合がとれないまま進む」です。
奈落の底に落ちていくだけです。
このような「八方ふさがり」の状況の打破に有効な道具が「兵法」なのです。
勿論、兵法は「勝ち易きに勝て」とか「優勝劣敗」とか「敗者の戦略はない」とかが主題となっていて、無謀な戦いを戒めています。
この原則は大事ですが、兵法は親切にも、その原則が崩れた場合の対処のことまで書いていてくれています。
それが「第七篇 軍争篇」です。
第六篇までの大きな意味での戦略解説から一変して、戦線が入り乱れる浮動状態からの脱出法が解説してあります。
戦国武将、武田信玄の旗印として有名な「風林火山」は、この軍争篇に書かれている4つの解決法の一つなのです。
では、この4つのポイントのエキスのみを解説します。
私の兵法の師である故武岡先生の解説を引用しています。
1.次々と発想を転換して効果を発揮せよという「風林火山法」
2.もの、特に新しいものを使って解決せよという「金鼓旌旗(きんこせいき)法」
3.他との連携、困難発生への調査と対策、新組織や他人を使えという「借刀(しゃくとう)法」
4.触らぬ神にたたりなしの君子危うきに近寄るなの「走為(そうい)法」
このままでは、「なんのこっちゃ?」かもしれませんね。
私は、実際には、このうちの2つを組み合わせたり、他の要素を加えたり、自分の創意で変形したりと工夫して使っています。
一番、即効で効果が上がるのは3番の「他との連携」ですが、失敗が多いのも事実です。
大事なことは、失敗を悟った場合は躊躇なく相手を切るべきという踏ん切りです。
次の連携の余力を残しておく必要があるからです。
トップが面子にこだわり、効果の出ない連携をいつまでも続けることが最悪の手です。
経営判断の意味さえ分からないと言っても過言ではないでしょう。
私は3割バッターを目指しています。
つまり、自分の打つ手の7割は失敗するという前提で、ことを起こします。
兵法を学び、徹底的に思考し、シミュレーションを繰り返しても3割がやっとなのです。
それらが欠けた策など、成功率は1割にも満たないでしょう。
先にあげた兵法の3番とともによく使うのが2番です。
ただ、私が使うのは「もの」ではなく「思考の軸」の追加です。
簡単にいえば、ナビゲーションシステムで使う「衛星」の数を増やすことです。
使う衛星が増えれば、ナビの位置測定は、それだけ正確になりますね。
それと同じです。
その問題に有効と思われる思考方法を、次々に加えていくのです。
「整合がとれない」状態から抜け出せる道が自ずと見えてきます。
実は、この反対の方法が「敵を破滅させる」戦法なのです。
三国志で名高い諸葛孔明が使ったと言われる「八箇の法」などは、この典型です。
それについては、物騒なので、解説は省きます。
次号では、具体的な例を紹介しましょう。