建設行政も業界も“おかしく”ないですか(3)

2015.03.31

東洋ゴム工業の免震ゴムのデータ改ざんが建築業界を揺るがす問題になっています。
当初、問題の製品が使われた建物は全国で55棟と発表されましたが、その後の調査で増える傾向にあります。
中にはエネルギー吸収能力が半分程度しかない建物もあるということで、地震の際、想定以上に揺れて建物が損傷するなど、耐震性の問題が懸念されています。

多くの読者の方は、かつての「姉歯事件」を思い出したのではないかと思います。
そして、これらの不正は氷山の一角ではないか、もっと他にもあるのではないか、とです。
そういえば、姉歯事件も「不透明さが残るまま、捜査が打ち切りになった感があるなあ~」と思い出したのではありませんか。

私見に過ぎませんが、今回の事件と姉歯事件には、根底に同様の根っこがあると思っています。
それは、日本の耐震基準が「厳しすぎるのでは」という疑問です。

姉歯事件の時、私は「姉歯が構造計算した建物の大半は地震で倒壊しない」と断言しました。
それは自分の経験から来る結論でした。
私は、かつて、いろいろな物件で構造計算をしてきました。
その結果、日本の耐震基準は「屋上屋を重ねる基準」になっていて、あまりにも過剰であると確信しました。
しかも、鉄骨など日本の材料は、各メーカーが安全を多めに見積り、そもそも過剰品質になっています。
そのような各社の過剰安全性が重なっている上に、国の安全基準がさらに上乗せを要求しています。
だから私は、「姉歯の建物は倒壊しない」と言い切ったのです。

実際、今回も、東洋ゴム工業は構造安全性の検証結果を発表しましたが、「震度6強から7程度の大規模地震が発生した場合でも、55棟全ての建物について“倒壊の恐れがない”と確認した」と報道されています。
この震度は、東日本大震災や阪神大震災で観測された震度です。
つまり、国の安全基準を満たしていなくても「倒壊しない」のです。
どうでしょうか、姉歯事件の時とそっくりではありませんか。

さらに、私には、もう一つの疑問があります。
それについては次号で。