中国の思惑通りにはいかない(その7):中国だけが経済回復?
2020.11.15
中国の発表では、7~9月期のGDP成長率が4.9%のプラスになったということです。
日米欧より一足先に経済回復基調に入ったということで、2021年度は6.9%の成長に戻すと自信を深めています。
中国の発表数字をそのまま信じることはできませんが、回復傾向は事実でしょう。
徹底した都市封鎖という急ブレーキを踏んだ後に強引に経済再開へアクセルを踏み込むという政策は、独裁政治だから可能でした。
西側先進国では、とうてい不可能なことです。
この点で、人権を重んじる民主主義国家は弱いということになります。
でも、中国式の政策を正しいとは思いたくないですね。
その一方で、新型コロナウィルスによる経済ダメージが深刻な新興国への多額の債権が中国のアキレス腱になる可能性があります。
新興国全体の対外債務残高は7.5兆ドル(約800兆円)を突破し、償還どころか利払いの確保すら困難になっています。
こうした国々への大規模な債務免除について、債権国がこの問題の国際会議を開いています。
ところが、一帯一路で膨大な債権を抱えている中国は「自分も開発途上国だ」と言い張り、債務免除の大半を西側先進国に押し付けることを画策しています。
つまり、日本を含む欧米諸国に債務免除を負担させ、そのカネを中国への返済に充てさせようという“虫の良い”戦略です。
中国は、借金漬けで苦しむ開発途上国のことなど眼中になく、我欲のみです。
そもそも、債務免除が許されても、その国は将来的に国際市場から資金調達することが難しくなり、経済成長など見込めなくなります。
そうした事態に陥ることが分かっていながら、開発途上国の政府要人たちを甘い言葉とワイロで籠絡し、借金漬けにしてきたのが中国です。
しかし、そのことを非難しても馬耳東風なのが今の中国です。
西側諸国は、小異を捨て、力を合わせて中国に相応の負担を負わせるべきです。
おそらく中国は、硬軟の手段を織り交ぜ、各国の切り崩しを図ってくることでしょう。
標的は、中国寄りの姿勢の強いドイツと、そして日本です。
さて、菅政権は、こうした中国の策略をどうさばいていくのでしょうか。