コロナウイルス禍が浮き彫りにしたこと(その1)

2020.05.07

目下の人類共通の敵は、このコロナウイルスですが、肝心のウィルスそっちのけで、国どうし、人間どうしの争いが顕在化しています。
冒頭の朝日新聞の編集委員も、「コロナウイルスは、人間の醜さを浮き彫りにしている」とでも書けば良かったのでしょうが、自らの人間としての醜さを露呈する結果となったわけです。
 
日本でも、マスクやトイレットペーパーの買い占め、それを高値で売りさばくといった呆れる行動が連日、報道されています。
その醜い商売の場と成り果てたネットオークションの酷さ、などなど、上げれば切りがありません。
 
当初、欧米メディアは、発生源となった中国への非難だけに飽き足らず、日本も汚染国だとして中傷記事を連日配信していました。
そこには、欧米の有色人種に対する差別意識の根深さが見て取れます。
残念なことですが、この意識は現代人に共通の意識といえます。
「白は美しいが、黒は醜い」とする意識です。
美白を売りにする化粧品の氾濫、人気になるハーフタレントの多くは白人との混血です。
犯罪を意味する色は黒ですし、正義の色は常に白です。
 
もちろん、人間の奥底に潜む感情を否定することはできません。
私自身、抜けるように白い肌の女性を見れば「美しい」と思います。
ですが、それがその女性の人間性そのものと思うことはありません。
では、「白が美しい」と思う、こうした意識は、どう作られていったのでしょうか。
生まれながらのはずはありません。
小さな子ども時代、そんな感情を抱くことはなかったからです。
つまり、成長過程の中で周りから植え付けられた後天性の感情なのです。
ならば、変えることは難しくても、自分自身の中で制御できるはずです。
 
それで、いつも考えていることがあります。
人種差別をする国に住む有色人種の人たちのことです。
その人たちは、そうした差別を日常的に受けているのです。
その苦しみを考えれば、単純に「白が良い」とは思えなくなります。
実際、海外での経験では、酷い差別を目の当たりにしてきました。
そして、何も出来なかった自分の勇気の無さを、今でも恥じています。
 
今回のコロナウイルス禍が浮き彫りにしたのは、こうした人間の醜さかもしれません。
それと同時に、必死に立ち向かっている各国の医療関係の人たちの勇気と気高さには胸を打たれます。
 
反対に心配なのは、各国の指導者たちの姿勢です。
人類の未来より自分の政治的立場を優先しているようにしか見えないのは私だけでしょうか。