建設行政も業界も“おかしく”ないですか(4)
2015.04.30
4月30日付けの業界紙各紙の一面に「自治体の4割が歩切り」を行っているとの記事が載った。
さらに、記事を読むと、国交省と総務省が行った「歩切り」の実態調査で、「設計書金額から減額して予定価格を決定している場合がある」と回答した地方自治体が42.3%あったとのことである。
つまり、発注予定価格を設計書から算出した金額より下げることも「歩切り」なのである。
たしかに国交省のリーフレットにはそう書いてあるが、予定価格の決定過程が受注者側には分からないこともあって、受注者側には、これが「歩切り」との認識は、あまりなかったのではないか。
さらに、記事を読むと、国交省と総務省が行った「歩切り」の実態調査で、「設計書金額から減額して予定価格を決定している場合がある」と回答した地方自治体が42.3%あったとのことである。
つまり、発注予定価格を設計書から算出した金額より下げることも「歩切り」なのである。
たしかに国交省のリーフレットにはそう書いてあるが、予定価格の決定過程が受注者側には分からないこともあって、受注者側には、これが「歩切り」との認識は、あまりなかったのではないか。
今まで、契約で合意した金額から「端数を切ってよ」と一方的に減額することを「歩切り」だと思っていた人が多いのではないか。
それが「法的に違法」な歩切りであり、発注価格を下げることも「歩切り」だとの認識は、私でも薄かった。
下請法により、民・民の下請け契約であっても、契約金額より減額することは、数量の減少などの明確な理由のない限り違法とされている。
この認識は、かなり浸透してきていると言える。
しかし、発注予定金額を設計金額より落とすことも違法だという認識はまだまだ浸透していないのではないか。
しかし、この行為は「改正品確法第7条第1項第一号」に違反するというのである。
国交省としては画期的な方針転換であり、業界側は歓迎するのが当たり前である。
だが、以下の2点で引っかかるのである。
その1点目は、自治体の財務状況である。
借金まみれは、国だけではない。
大半の自治体は「カネが足りない」のである。
そうした中で、「国交省の指摘により公共工事の予算金額を上げることになりました」と、市民に説明できる自治体があるかということである。
ゆえに、設計書金額から下げることが違法ならば、「設計書金額そのものを下げれば良い」となるのではないかという懸念である。
歩掛かりや単価の見直しなど、いくらでも手段はある。
ワンデーレスポンスの施行で、質問書の日付を「回答日前日に訂正して再提出せよ」と要求されたとの話をあちこちで聞くが、同様のことが起きそうである。
これでは実態はさらに深く潜ってしまい、何らの改善にもならないのではないか。
第二の懸念は、さすがに民間発注者には同じことを要求できないであろう、という点である。
設計書金額のまま発注する民間発注者など皆無だからである。
弊社は、一方では発注者の立場にあるが、発注金額を決めるには多様な条件を組み合わせなければならない。
設計金額は、そのベースに過ぎない。
事業の採算性こそが最も大きな要素となる。
公共事業が、この経済原則に合わないのであれば、「一般競争入札」という制度そのものが無理ではないかと思うのである。
この2点について、業界各紙の見解を聞きたい。
果たして応えていただけるか、これからの紙面を注視していきたい。