中小企業の借金(4)自社の論理と倫理(1)

2013.12.30

前回は、銀行の論理と倫理を、銀行側からの視点で解説しました。
結論は「半澤直樹はいない」でしたが、少々補足します。

現実の半沢直樹はいませんが、「なりたい」あるいは「なれたら」と思っている銀行員はいます。
私は、そんな事例に何度も遭遇しています。
実は、これが最も大事なポイントなのです。
このポイントを現実にする芽は、自社の中に、経営者のあなたに、そして、経営者を支えるあなたにあります。
今回は、自社の論理と倫理を理解する番です。

孫子の兵法の有名な言葉、「敵を知り、己を知らば、百戦危うからず・・」をご存知だと思います。
この言葉が、借金する場合にも当てはまります。
銀行の論理と倫理を知ること以上に、中小企業である「己の論理と倫理」の分析が必要です。

以前、中小企業への融資は、基本的に「不良債権」になるという話をしました。
「不良債権」とは、銀行側の事情から言うと「引当金」を積まねばならないということです。
かつ、この「引当金」は有税ですから、貸出金利を考えたら、「リスクばかりでメリットなし」になります。
だから、銀行側は担保を求めたり、保証協会の保証や保証人を求めてきたのです。
これらがあれば「不良債権」にならないからです。

では、そもそも、銀行側から見る中小企業の基準とはなんでしょうか。
うんと簡単に言うと、「資本金3億円以下」かつ「従業員300人以下」の企業です。
つまり、大半の企業は、引当金を積む対象となる中小企業なのです。
金融庁マニュアルで「企業点数=ゼロ」となる基準です。
まず、自社がこの水準を超えているか否かを確認してください。
(これは簡単ですね)

次に、当然ながら、自社の業績に目を向けてください。
直近3カ年の試算表および前月までの試算表はいつでも提出出来るように準備しておくことが必要です。
そして、この準備をしておくことが、毎月、月次決算することにつながります。

常に業績を事実として正確に捉まえておくことは「己を知ること」の第一歩です。
その事実を自らの目で見ていけば、自ずと問題点が見え、「明日、何をすべきか」が見えてきます。
この明日が明後日につながり、1年後、3年後、5年後につながる道が見えてくるのです。

これを頭の中だけでなく、ペーパーに書いていくのです(パソコンでも、鉛筆でもOK)。
このペーパーを見せて話が出来れば、銀行側に半沢直樹が現れるチャンスが生まれるのです。
次回はもう少し深い話をしていきましょう。