日本の世界における役割とは?(2)

2024.03.18


前回、以下のように書きました。
「軍事同盟は『相互防衛義務が常識の同盟』です。米国には日本を守る義務があるが、日本には米国を守る義務はないとする「虫の良い条約」など有りはしないのです。
それゆえ、日本は米軍に基地を提供し、自由に使って良いとする交換条件付きとなっているのです。
その意味から考えれば、沖縄の普天間移設反対は『日本のわがまま』なのが、国際常識です。」
 
国会で社民党の福島みずほ議員が、南西諸島の防衛強化を非難して、「反撃能力を有することで中国からの攻撃を招く」と主張していました。
福島氏は、非武装中立論を唱えていた旧社会党の残滓のような方ですから、こうした主張を展開されるのは当然でしょうが、カビの生えたような主張には呆れるばかりです。
 
「攻撃こそが最大の防御」は戦争における鉄則ですが、決して無制限の先制攻撃を勧めている言葉ではありません。
戦略本の原典といえる孫子の兵法では「いかにして戦争を回避するかの戦略」が第一の戦略となっていて、冒頭からかなりの章を割いて、その具体的方法を説いています。
しかし、「どうしても戦争が避けられない局面になった時は・・」として、実戦での各種戦法を解説する章へと展開する章立てとなっています。
つまり、実戦とならないよう戦争を回避する能力を備えることが肝心と教えているのです。
その戦争を回避する手段のひとつが「敵国を攻める能力を保有する」ということなのです。
そして、その能力を背景にした外交交渉で勝てと言っています。
 
ところが、「敵国を攻撃する能力を持つから敵に攻められるのだ」と、福島氏はあべこべの主張を繰り広げているわけです。
まさに「非武装中立論、健在なり」で、孫子を一度も読んだことはないのでしょうね。
 
一方、沖縄の辺野古移転を止め普天間基地もなくなれば平和が来ると、沖縄の人々は本気で考えているのでしょうか。
それで一番喜ぶのは中国で、軍事行動の自由度が増すとして戦狼外交に拍車がかかるでしょう。
 
米国で気になる動きがあります。
在日米軍の家族が日本を離れるという動きです。
つまり、米国は東アジアの情勢変化から日本が攻撃を受ける可能性が高まっていると考え、米軍の家族を避難させておこうと考えているわけです。
日本は、「米軍の家族が住んでも大丈夫ですよ」という強いメッセージを出し米軍を引き止めるのか、それとも憲法を改正し、正式な軍事抑止力を持ち、自力で防衛する国家となること宣言し、実行するのかの十字路に立っているのです。
国会では、こうした現実的な論戦はなく、福島氏の「お花畑」な口撃に返答する官僚が気の毒になります。
さかんに「軍事力強化は戦争を招く」と主張する福島氏に対し、答弁に立った防衛官僚の一言がすべてを物語っています。
「そうしたことは、中国に対し仰ってください」