小さな会社の大きな手(2):小さいがゆえの限界

2015.04.30

前号では、「小さいがゆえの利点を活かせ」ということで、野球を例にとって説明しました。
結論は「4つの四死球を得ること」でした。
今号は、その続きで、「小さいがゆえの限界」の話をします。
 
企業経営は、常に順風とはいかないものです。
苦境に陥る時もあるし、逆に大きなチャンスに巡りあうこともあります。
企業経営とはドラマチックな行為であり、これを「面白い」と思うくらいでないと、経営者とはいえません。
 
さて、このような、現状を打破する、あるいは飛躍のきっかけをつかむときには、ある程度「大きな手」を打たなければなりません。
しかし、「大きな手を打て」とは言っても、限界があります。
自社の限界を超える手を打ち、あえなく消え去った企業は数多くあります。
当然ですが、「大きな手」ほど、投資金額が膨らむ割に成功確率は低いものです。
ですから、普通は「やらない」ことが賢明なのです。
 
「何を当たり前のことを言っている」とお叱りを受けそうですが、もう少し聞いてください。
 
では、現状維持では企業の存続が難しいという状況になった場合を考えてください。
打つ手は2つです。
人員整理を含む「縮小均衡」を図るか、思い切った拡大策(新規事業を含む)に挑むかの2つです。
 
まともなコンサルタントであれば、「縮小均衡」を勧めるでしょう。
それが正解です。
だが、それでは、本コーナーの意味がありませんね。
あえて、「拡大策」を採ることが今号の目的です。
 
それには条件があります。
明確な「拡大策(あるいは、新規事業)」の具体案を持っていることが条件です。
それにはマーケティングが欠かせません。
ここでいう具体案とは、マーケティングの結果から導かれた案でなければなりません。
 
さらに、「小さいがゆえの限界」を、ぎりぎりの線で明確化することです。
人員の配置転換、外部からの支援、資金調達など、あらゆる要素の「ぎりぎりの限界線」を数値化することでもあります。
これを、様々に変えながら、マーケティング結果から導かれる「目標とする成果」と整合が取れるまで、事業シミュレーションを繰り返すのです。
実際に、実行したかの如く、緊迫感を持って数字を作っていくのです。
 
しかし、それでも、どうしても「整合が取れない」という事態に陥った時はどうするか。
拡大策を諦めるか、それとも、次の手をかぶせていくか。
まさに、ぎりぎりの経営判断が問われるわけです。
それは、次号で。