企業の投資(3)
2025.09.01
現在の石破政権には「経済に強い」と思われる閣僚・幹部が少ないのが難点です。
誰とは言いませんが、農政大臣などは、その弱さの象徴ですね。
ゆえに、財務省に操られ、増税路線を走るしかないのです。
消費税減税は、この政権が続く限り不可能です。
国家であれ、企業であれ、成長するには投資が必要です。
まずは、国家としての投資の話をしましょう。
今の日本、投資資金を税収で賄うのは無理なので、国債発行で調達するわけです。
建設国債はその代表ですが、かつての民主党政権は「コンクリートから人へ」を掲げ、公共事業費を大幅にカットしました。
民主党政権で国交大臣に就任した前原誠司が放った、この「コンクリート~」の言葉で公共事業は悪者にされました。
実際、政権誕生の翌年2010年度の公共事業予算は、補正予算を含めて、前年度の8.8兆円から6.4兆円へと激減しました。
その後の2011、2012年度は、その傾向を引き継ぎ、当初予算は5兆円程度にまで圧縮されました。
しかし、景気悪化に慌てた政権が大幅な補正予算を組んだことで、結果として7.9兆円、7兆円と膨らみました。
ただし、建設工事の性格上、補正予算では計画的なインフラ投資ができず、景気向上の起爆剤にはなりませんでした。
こうして景気が悪化したことで2012年末に民主党政権は倒れ、安倍晋三率いる自民党が復権しました。
それでも、いきなり公共事業予算の増額はできず、2013年度からの3年間は、ほとんど補正予算が組めない状態が続きました。
ようやく2016年度になって補正予算の増額ができるようになり、予算全体は7.6兆円に伸びましたが、当初予算は6兆円程度に抑えられました。
その後も公共事業の当初予算は6兆円程度に抑えられたままで、2019、2020年度に6.3兆円と少し上がりましたが、
2021年度からは再び6兆円に抑えられ、この傾向は今年度(2025年度)まで続き、景気刺激の起爆剤になっていません。
財務省は、国債発行を「国、ひいては国民の借金だ」と言い続け、一部のマスコミもそれに同調しています。
石破首相は「日本の財政状態はギリシャより悪い」と発言しましたが、自らの経済音痴ぶりをさらけ出した格好です。
多くの専門家が指摘しているように、ギリシャはユーロで借金を重ねていて、自国通貨で返済が出来ず、ユーロの手持ちがなくなりデフォルトするしかなかったのです。
それに対し、日本政府の債務は、その半分を日銀が、残りの大半は日本の金融機関が保有しています。
読者の皆様には「釈迦に説法」ですが、通貨発行権を持つ国家は、国内の資金調達でデフォルト(債務不履行)にはなりません。
借り換えすればよいだけのことで、日銀はもちろんOK、利息が入る銀行は大歓迎です。
対外債務・債権に至っては、日本は大幅な黒字国で、そこからの収入もかなりに上っています。
しかし、「財務省が悪い」と単純には言えません。
財務省は、家庭で財布の紐を握っている専業主婦のようなものです。
とにかく出費を抑えようとするのは当然です。
だから、国家の家父長である首相が、国の発展を第一に考え、財政状態を踏まえながらも必要な投資を行っていく責任があります。
石破首相による最近のアジア・アフリカ外交での大判振る舞いな援助は、「悪い」とは言えません。
しかし、その援助がどのような形で日本の利益となって返ってくるかの説明がありません。
財務省が何も言わないのは、このような出費が増税の言い訳になると踏んでいるからです。
このように、リーダーシップ力が全く見えない現状でも、石破首相の支持率が上がっているという世論調査が本当ならば、日本の未来は暗いとしか言いようがありません。