企業にとっての借入金(1)
2023.07.03
2020年に始まったコロナ特別融資(通称ゼロゼロ融資)の総額は56兆円という巨額です。
帝国データバンクの調査によると、中小企業全体の49.2%がこの融資を利用したということです。
コロナ禍の経済落ち込みの中で、逆に企業倒産が大幅に減ったことから、この政策は一定の効果があったといえます。
しかし、読者のみなさまはご承知のことと思いますが、それだけの数の中小企業が困っていたというわけではありません。
この特別融資は無担保の上、3~5年間は利息が実質ゼロという破格の条件でしたから、資金が逼迫していない企業もこの融資を利用したはずです。
しかも、借入に伴う保証料も全額、国が肩代りしてくれるというのですから、借りない手はありません。
というわけで、弊社も、この特別融資を利用しました。
通常の借入に比べて総額で数百万円の経費削減(利益?)になりました。
このコロナ融資には、元本返済を最長5年まで据え置き可能という特典まで付いていました。
元本返済の据え置きは“麻薬”といえますから弊社は使っていませんが、据え置きを利用した企業の割合は32.6%ということです(多くは3年を選択したようです)。
現在、その3年が順次終わりを迎えてきていますが、予想通り、返済できない企業の倒産が増えてきています。
一部の業種を除いて収益の回復は進まず、今後、この種の倒産は増えてくるでしょう。
考えてみれば当たり前のことが起きてきたわけですが、数字で考えてみます。
帝国データバンクの調査では、「問題なく返せる」と回答した企業の割合が85.5%、「不安がある」とした割合が12.2%ということです。
据え置きせずに返済を行っている企業の倒産はほぼゼロと考えて良いと思います。
一方、「返済に不安がある」と答えた企業の多くは、据え置きを利用した企業だと推定されます。
中小企業庁の最近の調査では、中小企業の数は約350万社となっています。
特別融資の利用割合が49.2%で、据え置き利用が32.6%ですから、利用企業数は56万社となります。
このうちの12%が返済に不安があるとすると、6.7万社が“要注意”企業となります。
それでも、借り換えや条件変更などで、なんとか凌ぐ企業の割合を80%とすると、倒産する危険がある企業数は、1万3400社ということになります。
70%ならば、2万社ということになります。
さて、この数字、多いと思われますか、少ないと思われますか。
かって、倒産が年1万件ぐらいあった時代がありましたから、驚きという数字ではないと思います。
私も「こんな少ない・・」と思いました。
そもそも、コロナ禍以前から中小企業の数は減り続けています。
400~450万社と言われていた時代からみたら、350万社という数字は「そんなに減ったのか」と思う数字です。
しかも、まだまだ減ることが予想されます。
つまり、マスコミが言うような「コロナ融資の返済」が中小企業の倒産を増やす要因ではなく、経済構造が根本から変わる時代に入ってきたのに、その変化についていけない企業の増加が増えるということなのです。
また、分かりきったことですが、企業は業績悪化で潰れるのではなく、資金不足で潰れます。
つまり、赤字が続いても資金調達さえできれば企業は存続できます。
いえ、たとえ倒産したって、新たな資金調達さえできれば、なんどでも再起できるのです。
この話、次号に続けます。
帝国データバンクの調査によると、中小企業全体の49.2%がこの融資を利用したということです。
コロナ禍の経済落ち込みの中で、逆に企業倒産が大幅に減ったことから、この政策は一定の効果があったといえます。
しかし、読者のみなさまはご承知のことと思いますが、それだけの数の中小企業が困っていたというわけではありません。
この特別融資は無担保の上、3~5年間は利息が実質ゼロという破格の条件でしたから、資金が逼迫していない企業もこの融資を利用したはずです。
しかも、借入に伴う保証料も全額、国が肩代りしてくれるというのですから、借りない手はありません。
というわけで、弊社も、この特別融資を利用しました。
通常の借入に比べて総額で数百万円の経費削減(利益?)になりました。
このコロナ融資には、元本返済を最長5年まで据え置き可能という特典まで付いていました。
元本返済の据え置きは“麻薬”といえますから弊社は使っていませんが、据え置きを利用した企業の割合は32.6%ということです(多くは3年を選択したようです)。
現在、その3年が順次終わりを迎えてきていますが、予想通り、返済できない企業の倒産が増えてきています。
一部の業種を除いて収益の回復は進まず、今後、この種の倒産は増えてくるでしょう。
考えてみれば当たり前のことが起きてきたわけですが、数字で考えてみます。
帝国データバンクの調査では、「問題なく返せる」と回答した企業の割合が85.5%、「不安がある」とした割合が12.2%ということです。
据え置きせずに返済を行っている企業の倒産はほぼゼロと考えて良いと思います。
一方、「返済に不安がある」と答えた企業の多くは、据え置きを利用した企業だと推定されます。
中小企業庁の最近の調査では、中小企業の数は約350万社となっています。
特別融資の利用割合が49.2%で、据え置き利用が32.6%ですから、利用企業数は56万社となります。
このうちの12%が返済に不安があるとすると、6.7万社が“要注意”企業となります。
それでも、借り換えや条件変更などで、なんとか凌ぐ企業の割合を80%とすると、倒産する危険がある企業数は、1万3400社ということになります。
70%ならば、2万社ということになります。
さて、この数字、多いと思われますか、少ないと思われますか。
かって、倒産が年1万件ぐらいあった時代がありましたから、驚きという数字ではないと思います。
私も「こんな少ない・・」と思いました。
そもそも、コロナ禍以前から中小企業の数は減り続けています。
400~450万社と言われていた時代からみたら、350万社という数字は「そんなに減ったのか」と思う数字です。
しかも、まだまだ減ることが予想されます。
つまり、マスコミが言うような「コロナ融資の返済」が中小企業の倒産を増やす要因ではなく、経済構造が根本から変わる時代に入ってきたのに、その変化についていけない企業の増加が増えるということなのです。
また、分かりきったことですが、企業は業績悪化で潰れるのではなく、資金不足で潰れます。
つまり、赤字が続いても資金調達さえできれば企業は存続できます。
いえ、たとえ倒産したって、新たな資金調達さえできれば、なんどでも再起できるのです。
この話、次号に続けます。