これからの商売(3):怪しい商売(続けて)
2017.08.18
「怪しい商売」の代表として水商売をあげましたが、「欲望の開放を利用して儲ける」ということは、どの商売にも当てはまりますから、参考にすべきです。
もう一つ、水商売は「本日限り」の商売です。
「今日の稼ぎは、明日は挙げられない」のです。
「明日は明日の稼ぎの場」なのですから。
ホステスの常套文句の一つに「明日も来てね!」という甘言がありますが、それで明日も来る客はほぼ皆無です。
今日のうちにお客の財布からカネを抜き取っておかなければならない商売なのです。
もちろん、ぼったくり過ぎて、客に「二度と来るもんか」と思わせては最悪です。
また、風営法に引っかかって警察に目を付けられても困ります。
合法かつお客の納得づくで、「今日のうちに利益を挙げる」ことが水商売の命題です。
私は、これを数字として捉えるため「3分の計」を徹底したのです。
「原価30%、人件費30%、経費30%、純利10%」を頑なに守ることで、商売を継続させました。
3年後には、お客のリピート率は80%を超え、営業的経費が必要なくなりました。
しかし、これを利益として溜め込むことをせず、その分をお客様への還元経費に使うことを考えました。
そこで、その還元の一貫として近くの喫茶店を買収しました。
「えっ、それって『還元』なの?」と思われるでしょうね。
実は、商売を続けるうち、他店のホステスさんたちが、自分のお客様を私の店に連れてきてくれるようになったのです。
「どうやって?」の疑問には、別の機会でお答えしましょう。
もちろん、来店するのは閉店近くの遅い時間ですが、これが“本日”の売上の最後のひと押しとなったのです。
なにしろ他店のホステスさんですから、給料を払う必要はなく、お客さんのお相手もそのホステスさんがしてくれます。
ありがたい話です。
それで、こんな大事なホステスさんに対し、店として何が出来るかを考えたのです。
ホステスさんは夜が仕事の時間です(当たり前ですが・・)。
昼間はOLや学生の方もいますが、何も仕事をしていない方も結構います。
喫茶店を始めてしばらくすると、そんなホステスさんが寄ってくれるようになりました。
そんな時、コーヒーをサービスしたのです。
最初はびっくりされましたが、
「いつもお客様を連れてきてくださりありがとうございます。これはサービスです」
と言うと、とてもうれしそうにしてくれました。
喫茶店のほうは、別に責任者を雇っていて、私はたまにしか行かなかったのですが、店でそうしたホステスさんを見かけると、必ず声を掛け、何かサービスすることにしていました。
特に、ホステスを専業にしている方には、この一言、二言の声掛けがうれしかったようです。
夜にお客さんを連れて店に寄ってくれる回数が増えたことで、それは分かります。
これも「欲望の開放」の一つなのです。
水商売は、「騙し、騙され・・」の商売です。
でも、そのことはお互いに分かっているのです。
ならば、上手に気持ちよく「騙し、騙され」れば良いのです。
20代そこそこで、水商売から学んだ商売の原則です。
この話、もうちょっと続けさせてください。
読者のみなさまがお客様として行かれる場合に役に立つでしょうから・・