日本経済は新次元の入り口にある(その1)

2017.07.24

経済データによると、今の日本は「戦後三番目の好景気」ということですが、巷では「実感なき好景気」との声が多く聞かれます。
たしかに、好景気というには消費の伸びもなく、給料も上がっていません。
さりとて、失業率は最低水準で、求人倍率はバブル期を上回る売り手市場。
不況とはほど遠い現象であることも確かです。
 
ですが、純粋に公平な見方をすれば、やはり、今の日本は好景気と言うべきでしょう。
そして、この景気をもたらした起爆剤がアベノミクスであることは疑いもないことです。
野党が主張する「アベノミクスの破綻」は全くの虚構であり、多くの国民に見抜かれています。
 
ただし、「景気回復」と手放しで喜べないのも事実です。
アベノミクスも、第1弾の金融緩和に続く第2弾、第3弾は不発気味で息切れ状態です。
それでも不況に陥らないのは、日本経済を支える仕組みが「平衡状態」にあるからです。
例えば、輸出と輸入がほぼ同額で、増えもせず減りもしません。
従って、為替変動の影響をほとんど受けません。
一時心配された米国との貿易交渉も、安倍首相の努力でトランプ大統領に気に入られたことで小康状態です。
これは、皮肉ではなく実感です。
 
個人収入はわずかずつですが増えていますし、企業の収益は大幅に改善しています。
しかし、個人消費も企業の設備投資も上がりません。
その主な原因は、過去のトラウマにあります。
バブル後の不況が長く続いたことで、個人も企業もすっかり臆病になり冒険をしなくなったのです。
若者の公務員志向などはその典型ですね。
その上、少子高齢化の社会に突入して将来への不安が高まっています。
その結果、「とにかく自衛を・・」という意識に支配されているのです。
 
このように、今の日本経済は極端な平衡状態にあります。
見方を変えれば、これほど安定した経済を持つ国は他にはないと言ってもよい状態なのです。
ということは、しばらくはこのままの経済状態が続くということです。
 
ただ未来永劫、この状況が続くはずはありません。
私は、現在を「経済が新次元に入っていく入り口」と見ています。
日本は、その前で足踏みをしている状況だと思います。
企業や個人が「新次元が危険に満ちている」と感じれば、後ろに下がり、不況になっていくでしょう。
反対に「希望に満ちている」と感じれば、前へ向かって歩き出し、好況になっていくでしょう。
 
では、今の状況を動かす変動要素は何でしょうか。
確実なプラス要素は、外国からの観光客の増加(今の倍くらいまでいく?)とITの進展です。
反対のマイナス要素は、消費税の増税と中国経済の破綻です。
ただし、いずれも決定的な要素ではありません。
次回は、その決定的な要素について論じたいと思います。