これからの近未来経済(1):リモート社会が到来?
2020.12.15
前号まで「これまでの経済、これからの経済」を15回に渡って続けましたが、「これから」に絞って、この先の経済を予告的に論じでいきます。
予告ゆえ、実際には外れることも多いと思いますが、そこはご容赦ください。
今回のコロナウィルス禍がもたらす“ニューノーマル”な社会とは、AI活用によるリモート社会だとする論調が強まっています。
こうした論者は、「近未来は、人間同士が距離を取り合い、できれば遠隔での付き合いや仕事を主体にする世界になる」ことを想定しているわけです。
そうなれば、人間同士の直接のコンタクトは消え、電子的なコンタクトで生成される電子情報が社会を動かすことになります。
結果として、生身の人間関係が減少し、情報が独り歩きし、その情報が生身の個人を制御するという社会が形成されていくことになります。
やがて、電子的なコンタクトから生まれる膨大なデジタル情報は、リアルなアナログ情報を完全に駆逐することになるかもしれません。
権力による情報コントロールを志向する国家にとって、こんなに都合の良い社会はありません。
その意味でいえば、近年の中国は未来を先取りした国家といえるでしょう。
中国は、すでに14億人の国民すべてを網羅したデータベースを構築したといわれています。
それどころか、中国に関係する世界中の人間のデータベースすら構築過程にあることが推測されます。
私のように、長年、孫子などを学んだ上で中国に批判的な記事をネット配信している者は、「危険人物」として、すでにロックオンされているかもしれません。
確証はなく冗談みたいな話ですが、監視システムは、まったく無機質にプログラミングされた手順、条件、数理モデルに沿って情報を収集・分析していくだけです。
そこに、人間的な感情要素が入り込む余地はありません。
あるとしたら、権力者の思惑がプログラミングの中に入り込むだけです。
ネットで買い物するたび、あるいは何かを検索するだけでも、その後、関連する商品の広告がネット画面に煩雑に表示され、個人メールや携帯メールにも、望んでもいない広告が入ってきます。
多少の防御策を講じたところで、やすやすとそんな障壁など乗り越えてきます。
根本的な防衛策は、ネットでの買い物や検索を制限することしかありません。
こうして、個人の主体性が徐々に奪われ、仕掛ける側の思惑に侵食されていく日常を感じます。
同時に、ネットを介した犯罪は確実に増えてきています。
インターネットの脆弱性は、悪意を持つ者にとっては天からの贈り物なのです。
その危険性を意識した上で、無防備にネットの世界に浸らないことを心がけています。