2024年からの展望(3):責任あるAIってなんぞや?
2024.08.02
AIという言葉は「人間の言葉の理解や認識、推論などの知的行動をコンピュータに行わせる技術」と、文科省のホームページには書いてあります。
分かったような、分からないような説明ですが、要するに「コンピュータが人間に代わって考える」ということなのでしょう。
この説明のような世界がどんどん進化すると、最終的に人間の存在価値はもちろん、存在する意味さえ無くなるような気がします。
やがて、世界をリード(支配?)するマザーコンピュータが生まれ、そのコンピュータが「人間は害虫であり、駆除すべき」とする「ターミネータの世界」になるでしょうね。
話が先へ行きすぎましたが、すでに、脳に電極を埋め込み、思考するだけで手や足を動かす技術は既に実用化されていますし、その思考すらも補助する技術は、まだ原始的とはいえ実用化されているのです。
そうした技術に、今の幼稚なメタバースではなく、現実と変わらないメタバースが融合したら、その時には映画「マトリックスの世界」が実現するわけです。
もはや、ターミネータもマトリックスも、SF映画ではなく近未来の現実として認識しなければいけない時代になったようです。
ハードとしてのAI半導体が生まれ、それに高度学習するソフトが埋め込まれ自らを自動アップデートしていく真のAIが誕生する日が確実に来るということです。
私がここまでAIを危険視(嫌悪ではありません)するのは、20代のコンピュータメーカーにおけるSE時代の経験があるからです。
当時はまだパソコンはなく大型の汎用コンピュータの時代で、一般人が目にすることはありませんでした。
それでも軍事用の小型コンピュータは開発されていて、米国の艦艇には装備されていました。
日本は、米国の支援を受けて同様のコンピュータを開発し、潜水艦への搭載を開始していました。
私はそのチームにソフトウェア要員として加わり、ソフトの開発に従事しました。
チームの使命は、まさにAIとしての能力を備えたシステムの実現です。
海中探査のソナーから入る信号で敵艦(当時はソ連原潜)の情報を解析し、確実に撃破するシナリオをソフトが組みます。
そのソフトからの指令で攻撃態勢が整えられますが、魚雷の装填以外、人間は一切関与しません。
艦の各所から入る信号で攻撃準備が整ったことを確認したソフトは、艦橋の端末(艦長の前にある)に「スタンバイOK」の信号が入ってきます。
最後の「撃て!」は人間である艦長が行いますが、この最後の命令と魚雷の装填だけが人間の役割で、後はすべてコンピュータ(というよりソフトウェア)が行うのです。
この話は50年も昔の話ですが、すでにAIと呼ぶべき世界はその時には出来ていたのです。
私が、反対ではないがAIを無条件に「素晴らしい」と言わないのは、こうした世界を経験し、今も情報システムを商売としているからです。
今や、製造現場でのロボット化はどんどん進み、完全無人工場は無数に稼働しています。
消防や警察、軍隊などがロボットで構成される世界も、未来世界ではなく“すぐそこ”の世界との認識が必要な時代に入ってきています。
次回は、もう少し実践的な話をします。