人を育てる(1):有能な人材を見抜く
2014.05.31
かつて、本メルマガで以下のように書いたことがあります。
『今の企業には、人を育てる「寛容さ」と「厳しさ」の両方が欠けているのです。
「寛容さ」とは、「失敗は成功の母」という、誰もが知っている概念です。
もっと言えば「無駄を認める」ということです』
そして、失敗した若手とその上司たる中間管理職の実例の話をしました。
今号から、人の問題を、事例を交えながら考えていきたいと思います。
今号から、人の問題を、事例を交えながら考えていきたいと思います。
長年、大手損保会社で人材育成を担当してきた友人がいます。
彼が、教育や指導、カウンセリングなどで関わった社員数は数万人に上るということです。
そんな彼が、統計的にこんなことを言っていました。
「3%の人間には、教育も指導も要らない。むしろ、そんな時間が勿体ない。
自由にやらせれば良い。ただ、そんな彼らも、必ず、どこかで失敗をする。
その時の対処の仕方を見ていれば、益になる人間か害になる人間かが分かる。
そこで、どうするか判断すれば良い」
ここからは、彼と私との問答を再現してみます。
私:ほう、害になるとしたら、その人間は切るのか?
彼:いや、この3%の人材は、どちらに転んでも貴重な人材だ。
何しろ教育が不要で、即戦力になる人材だ。
「害になる」と判断した者は、有能な管理職の元に配属する。
私:「毒も薬」というわけか。
彼:若手のうちに切る必要はないさ。
害といっても大したことはない。使える場面はいくらでもある。
大事なことは、我々の教育から得られたシビアな結果を、配属される上司に全て伝えることだ。
優れた上司は、優れた毒も使えるものさ。知ってさえいればな・・。
私:でも、それは大企業での話だろう。中小企業には縁のない話じゃないか。
彼:そんなことはない。
そもそも中小企業の経営者は、かなりの確率でこの3%の人材だよ。
ただ欠点は、社内に彼ら経営者を指導・教育できる人間も組織もないことさ。
私:そりゃ、そうだ。経営トップだもんな。
人の指導なんて受けたくないという人ばかりだろう。
彼:だから、中小企業は必ず倒産するんだよ。遅かれ早かれね・・
私:う~ん、経営者の話は別に聞くとして、その3%なんだが、100人に3人ということは、
30人の社員がいれば、一人はいるということだな。
いや、10人規模の会社でも、3社に1社はそのような人材がいるということか。
5人規模だったら6社に1人か。
結構いるな・・。
いや、10人規模の会社でも、3社に1社はそのような人材がいるということか。
5人規模だったら6社に1人か。
結構いるな・・。
彼:相変わらず何でも数字にしてしまう男だな、君は(笑)。
まあ、確かに確率から言えば、そうだ。
私:この確率は、実際の数字と符号するよ。
彼:と言うと?
私:新規創業した会社の生存率なんだが、いろいろな説がある。
それで、中小企業白書で10年後の生存率を調べたんだよ。
そうしたら、会社組織で36%、個人事業で11%ぐらいだった。
会社組織で生存できたってことは、この3%の人材を確保できたってことかなって。
そう思ったんだよ。
彼:なるほど、その説にも一理あるな。
私:ということは、経営者は、10年以内にこの3%の人材を確保することが会社の生存につながるのではないかな。
彼:まあ、確かに、そういうことは言えるな。
私:しかも、君の話から、彼らを見抜くポイントは分かった。
彼らが失敗した時の対処を見ればいいんだよな?
彼:そうだよ。
私:では、中小企業は、彼らをどうやって育てていったらいいのかな?
こうして、議論は延々と続きました。
この続きは次号で。