曲がり角の先の経済を考えてみよう(6):事業承継
2023.02.16
稲森氏や松下幸之助氏は、大成功した経営者ですが、決して善人ではありませんでした。
と言っても悪口ではなく、むしろ称賛の言葉です。
並の経営者が見習うとしたら、そうしたシビアな側面です。
あえて言えば、経営の芯に「孫子」や「韓非子」あるいは「マキャベリ」的な冷徹な戦略思考を持ち、それを「論語」や仏教の経典などでオブラートに包むというような経営でしょうか。
私は33年の経営の中で多くの経営者の方と話してきました。
その中には、名の知られた方もいますし、業界の“風雲児”と称される方もいます。
しかし、今も強く印象に残っているのは、ジリ貧に追い込まれた末に無念な結果に終わった方や、傷心の中で亡くなられた方々です。
「孫子」で師事した故武岡先生は、「経営の戦場は戦闘の戦場より過酷だ」と、口癖のように仰っていましたが、そのとおりだと実感しています。
それは経営者の宿命といえるもので、嫌なら経営者になるべきではないのでしょう。
日本経済が低迷を続ける中、中小企業庁の2022年度のデータによると、会社の継続を諦めている中小企業の割合は37%で、継続の意思を持つ企業の38%とほぼ同じ割合です。
残りの25%は「思案中」という答えなので、ほぼ半々といえる状況です。
この背景には、経営トップの高齢化が進み、後継者がいないという世相があります。
経営トップの60代以上の割合は67.6%と高い比率となり、70代以上も35.2%となっています。
これまで中小企業は代々一族が経営を引き継いできた例が多かったですが、そのことに躊躇する経営者が増えてきています。
躊躇する間にも時間は過ぎ、経営者の高齢化が進むという現実が数字に現れています。
そもそも親の経営を引き継ぐ意思がない子供の割合が増えているとの統計もあります。
放映中のNHKの朝ドラでは、娘が自分の夢を諦め、倒産寸前の親の会社を支えるというストーリーですが、現実感の無さに視聴者離れが起きていると言われています。
一般の方にも現実の経営の厳しさが感じられるのでしょうか。
本メルマガで再三述べているように、現在の世界は2025年を頂点とする100年に及ぶ大きな曲がり角を回っている最中です。
目に映る景色が目まぐるしく変わっていくことで、自社もこのカーブの中を回っているなという実感があります。
トヨタの豊田章男社長が、突然に社長交代を発表しました。
豊田社長には、このカーブを回りきった先の世界が見えているのでしょうか。
そして、その先は鋭い感性を持った若い経営者でないと乗り切れないと判断したのでしょうか。
会見では、ご自分ではこの先の世界は乗り切れないとの発言までされていました。
私は、35年前に、それまで20年以上乗り続けた日産からトヨタに車を変えました。
以来、トヨタ車を乗り継いできました。
その最大の要素はエンジンにあり、その技術は今も高く評価しています。
しかし、次の車あるいはその次となると、迷い出しています。
今乗っている車は、好きな山岳路や雪道での運転には最適ですが、「運転を楽しむには年を取りすぎてきたな」という実感と共に、車に対する意識が変化してきました。
おそらく、豊田社長は、そうした市場意識の変化を感じてきたのではないでしょうか。
事業承継を意識している経営者は、「世襲か否か」ではなく、「自社の未来に対する責任」で後継を考えるべきではと思うのです。
自分を含めてです。
と言っても悪口ではなく、むしろ称賛の言葉です。
並の経営者が見習うとしたら、そうしたシビアな側面です。
あえて言えば、経営の芯に「孫子」や「韓非子」あるいは「マキャベリ」的な冷徹な戦略思考を持ち、それを「論語」や仏教の経典などでオブラートに包むというような経営でしょうか。
私は33年の経営の中で多くの経営者の方と話してきました。
その中には、名の知られた方もいますし、業界の“風雲児”と称される方もいます。
しかし、今も強く印象に残っているのは、ジリ貧に追い込まれた末に無念な結果に終わった方や、傷心の中で亡くなられた方々です。
「孫子」で師事した故武岡先生は、「経営の戦場は戦闘の戦場より過酷だ」と、口癖のように仰っていましたが、そのとおりだと実感しています。
それは経営者の宿命といえるもので、嫌なら経営者になるべきではないのでしょう。
日本経済が低迷を続ける中、中小企業庁の2022年度のデータによると、会社の継続を諦めている中小企業の割合は37%で、継続の意思を持つ企業の38%とほぼ同じ割合です。
残りの25%は「思案中」という答えなので、ほぼ半々といえる状況です。
この背景には、経営トップの高齢化が進み、後継者がいないという世相があります。
経営トップの60代以上の割合は67.6%と高い比率となり、70代以上も35.2%となっています。
これまで中小企業は代々一族が経営を引き継いできた例が多かったですが、そのことに躊躇する経営者が増えてきています。
躊躇する間にも時間は過ぎ、経営者の高齢化が進むという現実が数字に現れています。
そもそも親の経営を引き継ぐ意思がない子供の割合が増えているとの統計もあります。
放映中のNHKの朝ドラでは、娘が自分の夢を諦め、倒産寸前の親の会社を支えるというストーリーですが、現実感の無さに視聴者離れが起きていると言われています。
一般の方にも現実の経営の厳しさが感じられるのでしょうか。
本メルマガで再三述べているように、現在の世界は2025年を頂点とする100年に及ぶ大きな曲がり角を回っている最中です。
目に映る景色が目まぐるしく変わっていくことで、自社もこのカーブの中を回っているなという実感があります。
トヨタの豊田章男社長が、突然に社長交代を発表しました。
豊田社長には、このカーブを回りきった先の世界が見えているのでしょうか。
そして、その先は鋭い感性を持った若い経営者でないと乗り切れないと判断したのでしょうか。
会見では、ご自分ではこの先の世界は乗り切れないとの発言までされていました。
私は、35年前に、それまで20年以上乗り続けた日産からトヨタに車を変えました。
以来、トヨタ車を乗り継いできました。
その最大の要素はエンジンにあり、その技術は今も高く評価しています。
しかし、次の車あるいはその次となると、迷い出しています。
今乗っている車は、好きな山岳路や雪道での運転には最適ですが、「運転を楽しむには年を取りすぎてきたな」という実感と共に、車に対する意識が変化してきました。
おそらく、豊田社長は、そうした市場意識の変化を感じてきたのではないでしょうか。
事業承継を意識している経営者は、「世襲か否か」ではなく、「自社の未来に対する責任」で後継を考えるべきではと思うのです。
自分を含めてです。