経営者の愚痴(1):経営って、「めんどうくせえ~」

2014.05.31

新しく「経営者の愚痴」のコーナーを設けました。
読者のみなさん(特に経営者の方)、本メルマガに「どうしようもない」愚痴をお寄せください。
勿論、匿名でその愚痴を紹介したいと思います。
最初は、愚痴というより、私からの問題提起を書かせてもらいます。

私も経営者の一人で、23年と少々、経営をしています。
ここまで山あり谷あり、吹雪で遭難しかけたこともあり、日照りで日干しになったこともありと、艱難辛苦(かんなんしんく)の連続でした。
その年月を振り返って思うことは「ほんと、経営ってめんどうくせえ~」なのです。

何が「めんどうくせえ」のか、
それは、もちろん、カネと人です。
その中で、カネはシビアですが、冷徹な計算が成り立つ世界です。
金融機関との丁々発止のやり取りは心理戦の面がありますが、基本は計算からくる論理の世界です。
論理を理解し、経験を積んでいけば、90%以上はコントロール可能です。

しかし、人の問題は、論理と非論理の組み合わせです。
この非論理の部分が「めんどうくせえ」の原因なのです。
そうであるならば、この部分を少しでも論理的に解析し、コントロール範囲に置けば、「めんどうくせえ」も少しは緩和されるのかな、と考えました。

こう書くと、「その『論理的解析』って、なんだ」と突っ込まれそうですね。
論理的解析をするためには、具体的なテーマが必要です。
そんな例をひとつ。
「なんとかせえ!」・・「なんとかします!」
これが非論理の典型的な会話例です。
企業で日常的に聞くやり取りですね。
赤字工事が発生し、頭に来た社長が工事部長に怒鳴ります。
「なんとかせえ!」
平身低頭の部長さん、必死の形相で答えます。
「なんとかします!」

これって、どうすんのでしょうね。
最悪の場合、部長は、この工事の原価の一部を他の工事の原価に振り替えたりします。
これは違法ですが、今でもあちこちで行われています。
一昔前は、協力会社に「次の工事で穴埋めするから・・」が常套手段でしたが、不況が続く中で、その「次・・」がなくて、この言葉は信用されなくなりました。

こんな手段で無理やり黒字にしたことを「よ~し」と評価するトップだったら、その会社の行く末は暗いですね。

読者のみなさまからは、「おまえは何が言いたいのだ?」と、そろそろお叱りを受けそうですね。
そう、話は「論理的解析」でした。
では、読者のみなさんに質問です。
「企業の目的は利益ですか?」。

経済学者のドラッカーが言っています。
『企業が利益を上げることは必須だが、企業の目的が「利益」になると、実は、社員は「自分たちは、何をすべきなのか」が分からなくなり、「利益を作り出す」ことにしか邁進しないようになる』

つまり、企業が生きるためには当然必要な「利益」ですが、利益を企業目的にしたとたん、社員は、「何をすべきなのか」が分からなくなる、とドラッカー先生は申しているのです。
でも、社員が「利益を作り出す」ことに邁進するなら、「それでいいじゃないか」と思えますよね。
しかし、ドラッカー先生は、それを「良し」とは言っていないのです。

今回は時間切れですので、続きは次号で・・
ほんと!「経営ってめんどうくせえ~」