中小企業の借金(6)金融大甘時代

2014.03.31

最近の金融機関、妙に「物分りが良いな」と感じることはありませんか。
それもそのはずです。
いま、金融機関は貸し出し条件の変更に対して、98.8%もの実行率で応じてくれているのです。
中小企業金融円滑化法は2013年3月末に期限切れになっているはずなのに・・です。

この情勢の中で金融機関が条件変更に応じてくれないとしたら、非は100%その会社にあると考えたほうがよいです。
その非に該当するのは、次の2つです。
本当に「倒産状態」と断定されているか、書類が整っていないかです。

前者の場合、真剣に廃業か事業転換を考えたほうが良いでしょう。
へたな延命は傷口を深めるだけです。

後者の場合、きちんと書類を作っていないならば、自分の努力不足です。
頑張るしかありません。
書類が作れないなら、作れる人(会社)に支援を頼むことです。
本当は、この期に及んで「経営再建計画書」ひとつ作れない会社ではどうしようもないのですが、それでも再建可能ならば何とかなるでしょう。

なんども言いますが、中小企業金融円滑化法は“実質”延長されているのです。
同法案は、2013年3月末に終了したのですが、日本経済新聞によると、返済期日等の貸し出し条件の変更(いわゆる、リスケジュール)依頼が、2013年4月~9月にかけて58万件もあり、かつ、申請に対する金融機関の実行率は過去最高の98.8
%にも上ったとあります。
これが、「中小企業金融円滑化法の“実質”延長」でなくて何でしょう。

さらに、金融検査マニュアル・監督指針が改定され、金融機関が中小企業向け融資の貸付条件の変更等を行っても不良債権とならないよう、要件が緩和されているのです。
具体的には、以下であれば不良債権にはならないというものです。
それは、「経営改善計画を策定していない場合でも、債務者の実態に即した金融機関作成の資料があれば、不良債権に該当しない」というものです。
これほどの大甘ぶりなのです。

では、OKが出る「債務者の実態」とは何かというと、以下のどちらかに該当するだけなのです。

(1)経営改善計画が1年以内に策定できる見込みがある場合
(2)5年以内(最長10年以内)に「経営再建が達成される」という経営改善計画がある場合
出典:≪中小企業金融円滑化法の期限到来後の検査・監督の方針≫
http://alox.jp/wp-content/uploads/2014/01/140131_kinyuu.pdf

この改定がなければ、リスケジュールを行った場合、金融機関は不良債権増加で貸倒引当金を計上しなければならず、利益がなくなってしまう恐れがあるわけです。

この3月、銀行の決算は、軒並み好業績となるでしょう。
しかし、過去と同様の定義で不良債権を定義付けていれば、確実に利益は低くなるわけです。
倒産が少なくなったことは良いことですが、極めて異常な事態であることは認識すべきです。

でも、日経平均株価は14,00~15,000円をキープしており、東京五輪決定もあり、東京を初めとする大都市圏の開発も活発化し、不動産価格は上昇しています。
結果的に、企業の資産価値は上昇し、金融機関の担保余力も上がっています。
実現性のある投資計画を持つ企業ならば、千載一遇のチャンス到来といえます。
積極的な経営を行う企業が増えれば、増税に負けない健全なインフレ経済が達成できるかもしれません。