企業における社長の力(4)
2018.11.16
今回は「大曲りした先の日本経済」に対し、舵を切る方向の見極め方と、舵を切るときの注意点を述べると大見得を切りましたが、実は難しいテーマです。
道路が右に曲がるのか左に曲がるのか、その先が霧に包まれて見えない状態ということですから。
まず考えられるのは、危ないから「止まる」ということですが、企業経営において「止まる」ことは終わりを意味しますので、これは論外とします。
曲がり角が見えるようになるまで、少しずつ進むというのは「有り」ですが、経営トップとしては「情けない」話になるので、これも却下とします。
答えのひとつは「宝くじを買う」です。
と言っても実際に宝くじを買うわけではありません。
ネット商売がその答えです。
実態あるビジネスと違い、ネット商売は「仮想要素」の強い商売です。
最後にはモノやサービスを手に入れるとしても、ビジネスはすべて仮想空間で行われます。
そこでは幻想が際限なく拡大されていきます。
仕掛ける企業の最大の利益は、最終的なモノやサービスではなく、膨らませた幻想なのです。
だから、利幅は大きく、参入する企業が後を絶たないのです。
しかしネット商売は、分野ごとに勝者はただ一人なのです。
自動車市場などを考えれば分かりますが、実物商売は、市場が成熟しても、ただ1者だけが残ることはありません。かならず、2者以上が残ります。
ユーザーが1者独占を許さないからです。
しかし、ネット商売は違います。 最終的に勝者は1者なのです。
他が残っても、ごくごく小さなシェアしか取れません。
ライオン1頭に、“あり”が数匹という市場になるのです。
ソフトバンクや楽天などが勝者の典型ですし、タレントとの浮名や月旅行などで社長が話題を振りまいているあの企業などもそうです。
ビジネスモデル自体が優れていたのではなく、宝くじに当選したのです。
もちろん、それらの社長を揶揄しているわけではありません。
宝くじの当選者は、思い切って宝くじを買ったから当たったのです。
同様に、必死に集めたカネを、狙いを定めたネットビジネスに投入したから、彼等は成功したのです。
そうした成功確率を高めるためには、狙いを極限まで狭く、小さくすることが戦略です。
「地域限定」とか「今だけ」とか「これっきり」という仕掛けです。
ただ、私は、そうしたビジネスは好きではないので、やりません。
では、他にどんな方法があるかですが、私は「ブルー・オーシャン戦略」を勧めます。
Wikipediaから「ブルー・オーシャン戦略」を引用すると、以下のように書かれています。
「INSEAD(欧州経営大学院)教授のW・チャン・キム とレネ・モボルニュが著したビジネス書、およびその中で述べられている経営戦略論。
競争の激しい既存市場を「レッド・オーシャン(赤い海、血で血を洗う競争の激しい領域)」とし、競争のない未開拓市場である「ブルー・オーシャン(青い海、競合相手のいない領域)」を切り開くべきだと説く。そのためには、自分の業界における一般的な機能のうち、何かを「減らす」「取り除く」、その上で特定の機能を「増やす」、あるいは新たに「付け加える」ことにより、それまでなかった企業と顧客の両方に対する価値を向上させる「バリューイノベーション」が必要だとしている。」
一般的に、競争に勝つには「低価格戦略」か「高付加価値戦略」のどちらかであると言われてきました。
それを「ブルー・オーシャン戦略」では「「減らす」「取り除く」ことで低コストを実現し、「増やす」「付け加える」ことによる顧客にとっての高付加価値を実現することで、両者は両立し得ると主張しています。
正直言って、私には「よく分からない」ので、以下のように簡略化して考えました。
「競争のない未開拓市場を切り開く」ということだろう。
しかし、実現には、よほどの能力と支援者と運が必要です。
そのどれもが乏しい私がさらに考えたのが「競争前の競争に勝つ、競争になったら撤退する」という考え方でした。
「孫子の兵法」を教えていただいた故武岡先生から伝授された「弱者の戦略+弱者の戦術」を自分流に具現化した戦略です。
言い換えれば「強者には出来ない、弱者だけが出来る戦法」です。
長くなったので、この続きは次回にします。