これまでの経済、これからの経済(8)

2020.04.16

いま、世界経済はコロナウイルスショックで恐慌一歩手前の状態です。
しかし、パニックにならずに、冷静に経済状態を分析することが大事です。
たしかに各国株式市場の下落幅は世界恐慌と呼んでもおかしくない数字ですが、これも「調整局面」のひとつと考えれば頷けます。
これまでの株高は、世界的な金余りとベンチャーバブルが結びついた幻想経済といえるものです。
コロナウイルス禍により、そのバブル部分が消し飛んで正常な状態に戻ったと考えれば、納得がいくレベルなのです。
1990年代中盤から始まったIT・インターネットの一大発展も四半世紀が過ぎ、落ち着いてきています。
そのため、金余りの中で投資家が血眼になって探してきた有望な投資案件はほとんど残っていないのが現状です。
その結果、歴史的にバブルの始まりと言われているオランダでの「チューリップの球根」に類する案件にも手を出す状況に陥っています。
先に大量の資金を集めてしまったソフトバンク・グループのビジョンファンドは、まさにそうした典型的な例で、「有望ではない投資先」であるウィーワークに無理な投資を行い、大きな損失を被ったわけです。
 
今回のコロナウイルスショックが長引けば、同社の存続にも関わる重大局面を迎えるかもしれません。
稀代の戦略家である孫さんですから策は考えていると思うので、その策に注目しています。
もっとも、我々中小企業には遥かに遠い世界なので、参考にはなりませんが・・
 
コロナウイルスショックの終息はまだまだ見えませんが、いつかは終息します。
そこまで生き抜く資金対策は重要ですが、終息時に攻勢を掛ける準備や投資も必要です。
長年、孫子の兵法を師事してきた故武岡先生によると、孫子の骨子は3本の柱にあるということです。
その3本とは、人間性、合理性、中庸性です。
次回、今回のウイルス禍の乗り切りに、この3本がどう作用するかを述べたいと思います。