建設行政も業界も“おかしく”ないですか(1)

2015.01.30

一昨年から続く人手不足、原価の高騰も一段落を迎えたようです。
弊社は、建設会社向けの仕事をしながら、逆に営業を受ける身でもあります。
ゆえに、業界の動向には人一倍敏感にならざるを得ません。

昨年は、狂乱的に原価が上がるだけでなく、仕事を断られるケースが相次ぎ、ほぼ全ての案件の計画を凍結したり、延期したりしました。
それが、昨年末あたりから風向きが変わり出しました。
しかし、いったん仕事を断られた相手に再びオファーする気にはなれずに、どの仕事も新たな会社と交渉をやり直しています。

昨年は、あちこちで「仕事を断るのも営業の仕事」と、まるでバブル時代に戻ったかのようなセリフを聞きました。
私も、サラリーマン時代は建設会社の人間でしたから、事情は骨の髄まで理解しています。
しかし、仕事を断られることで、顧客がどれほど傷つくかを分かっておられるでしょうか。
「仕事を断る」言葉は、「あんたのような貧乏人は相手にはしないよ」という言葉なのです。
どれほど丁寧な言い方をしても、顧客にはそう聞こえるのです。
そして顧客は、決してこの屈辱を忘れることはないのです。

しかし、ことわざで「人に足を踏まれたことはいつまでも覚えているが、人の足を踏んだことはすぐに忘れる」とあるように、建設会社は“断ったこと”をすぐに忘れます。
「もう、この顧客と二度と関係を持つことはない」と覚悟を決めている場合は別ですが、そうではない場合、再び声を掛けてもらう努力をその後に行っている会社や営業マンはどれほどいるでしょうか。
他の業界では、そんな人間を何人も知っていますが、建設業界では希少価値です。

最近はトーンが落ちてきたようですが、専門工事業界のトップがゼネコンに対する「リベンジの機会が来た」というような発言をしたり、法外な見積り額を提示したりと、業界内でも異様な事態が見られました。
ゼネコンの立場からすると、不愉快な発言ではないでしょうか。
でも、逆の立場にある顧客のことに思いを馳せているでしょうか。
昔から少しも進化していない業界の姿に失望感と危機感を感じます。

どんな時代でも「顧客のために何が出来るか」が受注のための大きなキーワードだと思います。
次回は、建設行政について、一言書かせてもらいます。