「コンビニエンス(利便性)=地域密着の建設業」(1)まずは先生に学ぼう

2013.10.31

前シリーズの「価格競争に勝てる・・」の続編として、「地域密着の建設業」の現代版をお送りします。
でも、以下の5つのキーワードは変わりません。
(1)社会情勢の変化
(2)劇的な技術革新
(3)豊富な実績
(4)イン・アン・エリア・ロープライス(地域で一番低価格)
(5)コンビニエンス(利便性)=地域密着

(4)の低価格は最強の武器ですが、この優位を覆す武器が(5)コンビニエンス(利便性)です。
それでは、まず、コンビニエンスの先生「コンビニエンス・ストア」の経営を学ぶとしましょうか。

コンビニの大手3社を知らない人はいないでしょう。
第1位:セブン-イレブン・ジャパン(以下、セブン)、第2位:ローソン、第3位:ファミリーマートです。
そのコンビニ業界の今期のキーワードは「大量出店」です。
では、この3社の店舗数を知っていますか。
直近のデータでは、セブンが1万5831店、ローソンは1万1348店、ファミリーマートは9948店です。
日本フランチャイズチェーン協会の統計によると、2013年8月末時点で上位10社で4万8764店に上ります。
日本全体では5万店が飽和と言われていますので、この飽和に近づいているわけです。
しかし、業界トップのセブンはブレーキを踏むどころか、今期、過去最高となる1150店の純増を計画し、コンビニ飽和論を意に介す様子もありません。
セブン&アイ・ホールディングスの村田紀敏社長は「年間の出店計画は達成できる。来年はそれ以上のペースで行ける。
将来は今の1.5万店舗を倍にもできる」と自信満々です。

その自信の源は、以下の2点にあるようです。
(1)セブンがまだ進出していない県が5つある(青森県、鳥取県、愛媛県、高知県、沖縄県)
伸びしろは十分あるということ。
(2)食品や日用品などの品揃え、公共料金の収納代行、無料Wi-Fiサービスなどの店舗機能を充実させていけば、さらなる客数増加を狙えるということ。

同様の路線で、第3位のファミリーマートは今期、単体ベースでセブンと同じ1150店の純増を計画。
同社の中山勇社長は「目標達成は視野に入っているし、やっと上位の会社を追える規模になった。
今、ブレーキをかける状況にはない」と攻めの姿勢です。
規模を増大し、スケールメリットにより、メーカーとの仕入れ交渉やプライベートブランド(PB)の開発を進めていけば、セブンの背中が見えてくるというわけらしい。

一方、第2位のローソンは、「無理な出店はしない」と、今期の店舗純増は単体で400店と抑え気味。
ただし、サークルKサンクスのエリア会社が展開する南九州の106店舗がローソンに鞍替えしたことから、グループ全体での純増計画を上方修正しています。
このサークルKサンクスからの鞍替えは、昨年、香川県でセブンが行った戦略でもあり、上位会社が下位を食っていくという戦国時代さながらの世界となってきています。

「大量出店」という彼らのキーワードの裏にあるものこそ、「コンビニエンス(利便性)=地域密着」です。
それも単なる利便性ではなく、「超地域密着」ともいうべき利便性の追求です。

「地域密着」は、本来、地場建設業者の得意技だったはずです。
しかし、大手に従属することの「楽(らく)さ」を覚え、あるいは、地場大手になることを「ステータス」と捉え始めたあたりから、建設業は地域密着から離れ始めたといえるでしょう。
言葉でいくら「地域密着」を叫んでも、行動が伴わない企業が大半です。
コンビニ業界の「コンビニエンス戦略」を学びつつ、建設業界における「コンビニエンス」を見直すべきではないでしょうか。
次回も学びを続けます。