日本の未来を明るくするには(3)

2014.04.30

消費者の心理が増税の負荷を乗り越えられれば、本物の景気回復への道が開けます。
政府には消費者心理を喚起する努力が求められますが、景気を作るのは政府ではありません。
民間企業の自力強化の努力が必要です。
各企業は、自社の商品やサービスの質を見直し、質を上げる取組みに知恵と汗を絞るべきです。
これが「アベノミクス」の第三の矢の真の姿なのだと思います。

前回も書きましたが、悲観論でメシを食っている評論家諸氏の「アベノミクス批判」に耳を貸すことは百害あって一利なしです。
アベノミクスは、何も安倍首相の特許でもなんでもありません。
経済理論から考えれば、至極当然のことばかりです。
これまでの政権も、このことは理解していたのですが、腰が引けて“おっかなびっくり”だったのです。
これでは消費者心理は動きません。

安倍首相は、その姿勢を変えて、思い切って大胆な規模にしただけなのです。
「アベノミクス」とは、かって米国のレーガン大統領が行なった「レーガノミクス」をもじって付けられた呼び名に過ぎません。
これから、真に「アベノミクス」と呼べるような施策を打ち出せるか否か・・安倍首相への評価は、それまで保留としておきます。

平安・鎌倉時代の歌人・随筆家であった“鴨長明”は『方丈記』でこう書いています。
「景気とは“空気の景色”である」
“言い得て妙”とは、このような言葉を指すのでしょう。
800年前の人に教えられ、考えました。
この「空気」を「実体経済」と読み替えると、「空気の景色」が変わるには、画期的なイノベーション、そして、それによって開発される「売れる商品、サービス」が必要ということになります。

しかし、それでも、市場で圧倒的に大きいのは既存の商品、サービスです。
ゆえに、景気回復にとって、もう一つ必要なのは「企業の生産性の向上」です。
この成果で労働者の賃金を上げ、かつ競争力を上げるという「二兎を追う」戦略が成り立つわけです。

議論を整理すれば、成長戦略とは以下の3つとなります。
1.画期的なイノベーション
2.売れる商品、サービスの開発
3.生産性の向上

政府に望むのは、この3戦略の実現のために「企業により多くの自由を与える構造改革」を行うことです。
前回の安倍政権で挫折した「公務員改革」もこの中に含まれます。
安倍首相にとっては『鬼門』かもしれませんが・・

ITや科学の発達は、10年前には想像も出来なかった製品やサービスを生み出しています。
これからも、どこで、どんな技術が生み出されるか、わかりません。
だから、ここで全面的な規制改革を行うことが必要なのです。
さまざまな人が、さまざまなチャレンジができるような社会、仕組みの中からイノベーションは生まれるのですから。