「責任ある積極財政」と2026年度予算案の行方(その2)

2026.04.01


高市首相が頑なに主張し続けていた2026年度予算の年度内成立は時間切れになりました。
しかし、暫定予算が成立しているので、影響は無いと言ってよいでしょう。
参院の議決が無くても予算は衆院の優位性により4月11日で自然成立します。
おそらく、参院のメンツで、その前に承認となる可能性が高いですが・・
 
では、この間の与野党の攻防には何の意味があったのでしょうか。
与党が衆院選で絶対多数を占めていても、参院での過半数割れという事態は変わらず、野党が抵抗することは必然でした。
こんなことは1月の通常国会の冒頭解散を決意した時点で分かっていたことです。
それでも高市首相は、頑なに予算の年度内成立にこだわり続けました。
当初は、国民民主党などが最終的に賛成に回る仕掛けを考えているのだろうと思いました。
しかし、衆院での議決日を同党の主張する16日ではなく13日に強行したことで、それは無くなりました。
つまり、この時点で年度内成立はほぼ無理となったわけですが、首相の発言は変わらず、また、党幹部への交渉指示も強くはなかったようです。
 
首相の真意は不明ですが、通常国会の冒頭解散に対する批判を気にして、メンツにこだわったのでしょうか。
それとも首相なりの深い読みがあったのでしょうか。現時点では不明です。
 
私の知る限り、高市首相の経済ブレーンにはかなりの面々が揃っています。
彼らの助言で、「いまだ尾を引くデフレの残滓を払しょくし、強い日本経済を取り戻すことが出来れば、年度内成立など取るに足らない問題」と腹をくくったのかもしれません。
 
そもそも、予算の年度内成立はマスコミが騒ぐほどの意味は無いです。
予算の骨子は昨年末には決まっていて、年明けには各省庁へ予算の執行指示が出ています。
本予算の成立が1ヵ月程度ずれたところで、何の問題もないのです。
そこまで考えての結果であれば、首相の腹はなかなかに座っているなと評価しますが、メンツであれば、評価は別です。
これについては、本人が説明することは無いと思うので、これからの政策で判断していきます。
 
ところで、前回「円安は日本経済の供給サイドの弱さを表わしている」として、「生産性を向上させるイノベーションが決定的に足りない」と書きました。
そして、その典型的な例が農業で、これに対する高市首相の政策は「決定的に間違えている」とも書きました。
私自身は農業問題の素人ですが、故郷新潟の親族には農業関係者が何人もいますし、農業問題に熱心に取り組んでいる知人からの情報もあります。
それらの情報から推測すると、高市首相には、これまで連綿と続いてきた自民党の農業政策を根本から変える意思は乏しいように思えます。
あるいは、変えることへの抵抗の強さに取り組みを後回しにしているのでしょうか。
 
だが、昨年度から続くコメの価格高騰に振り回された国民は、「日本の農業はおかしい」と気付き始めています。
日本の農業政策は、先祖返りのように、かつての「減反政策」へ戻っているようにしか見えません。
 
世界標準からみれば、日本のコメ価格は異常に高い水準にあります。
しかし、外米の改良も進み、もう「日本のお米は美味しいから高い」は通用しません。
政府が長く続けた減反政策は「米の価格維持のため、補助金という税金を出して作付けを制限する」という、経済原則を無視した政策です。
「コメの生産性を上げて価格を下げる」ことはダメで、「コメを作る田んぼを減らせばカネを出す」という政策です。
つまり、「生産性の向上」を止めさせ、生産コストを高止まりさせろと言っているわけです。
 
ほぼ全ての農家は、これが「おかしい」ことは、分かっています。
でも、減反すればカネを払う(今は、農協による買い付け金を上げる)と言えば、大半の農家は沈黙します。
農家の多くは後を継ぐ者もなく、前途はありません。
だから、コメの作付け面積を減らすことでカネがもらえるなら従います。
首相が、この事態を良しとしているのかどうかは不明です。