今後の建設需要(11)
2020.12.15
国交省が、2020年度の建設投資見通しを発表しました。
それによると、全体では前年度から3.4%減の53兆1600億円ということです。
政府投資は3.1%増の25兆6200億円ですが、民間投資がコロナ禍の影響で7.3%減と大幅に落ち込み、37兆5400億円と減るため、全体の減少に繋がるということです。
もし、公共投資を10.6%増の27.5兆円にしておいたならば、民間の減をカバーできた計算になります。
こうした見通しを考察して、国交省は、来年度の予算折衝でどんな要求を出し、政府がどう判断するのでしょうか。
相当額のさらなるコロナ対策費も必要ですし、困窮する国民や企業を救う政策も必要です。
企業業績の悪化を受け、税収も落ち込む中で財源は決定的に不足します。
菅政権の今後を占う予算編成となります。
MMT経済理論を信奉する経済学者や経済評論家は、天文学的な数字の国債を発行しても日本国は大丈夫と主張しています。
「国債残高が3000兆円ぐらいまでは大丈夫」と、相当に無責任な弁を述べる評論家もいます。
この言葉は、直接、私の耳で聞きましたが、「評論家とは気楽な商売だな」と、さすがに少々呆れました。
この評論家の“いいかげん”話は聞き飽きていますので論外としても、国債発行以外に頼る財源はありません。
また、災害で失われる人命や資産を考えれば、国土強靭化策は間違ってはいません。
その資金を国債で調達することも間違ってはいません。
ただ、強靭化策が政治家の餌となる危険は伴います。
これまで、そうした事例は数限りなくあり、これからも無くなることはないでしょう。
民主党政権時代の「コンクリートから人へ」のキャッチコピーとともに公共工事が減らされたことに対する批判は多いですが、その背景に、政治家の汚職の道具となった公共工事への国民の不信感があったことは事実です。
民主党政権が間違えたのは、こうした汚職を封ずるのに、単なるキャッチコピーで済まそうとしたことにあります。
そうではなく、着実かつ迅速な法令整備が必要だったのです。
その能力に欠けた民主党政権は、そもそも不適格だったのですが・・。
では、菅政権はどうなのでしょうか。
政策をどちらに振ろうと、菅首相は矢面に立たされます。
しかし、それがトップの宿命ですから、腹をくくり、どんな予算編成になろうと「これが私の意志だ」ときっぱりと言って欲しいものです。
菅首相にとっては、最初の予算編成です。
私は、その予算編成を確認してから、政権の今後を論評したいと思います。