これまでの経済、これからの経済(1)

2019.09.17

今号から数回に分け、経済の発達の歴史を概観し、近未来の経済予測までをお送りします。
本メルマガの読者の皆様には幼稚な内容になるかと思いますが、知識の整理や素人への説明には使えると思います。
読み飛ばしでいただいて結構ですが、少しでもご興味があれば、お付き合いください。
 
原始社会は自給自足経済から始まりました。
こうした経済下では、必要なものはすべて自力で獲得するしかありません。
経済とは呼べない状態です。
 
そのうち、不要なものや余ったものを、欲しいものと交換する物々交換経済が生まれました。
隣近所との交換から始まり、やがて遠くの村との交換に発展し、経済としての形が整ってきました。
しかし、重い物や数が多い物を遠くまで運ぶ手間が大変になり、また、交換できずに無駄足を踏むことも増えてきました。
 
そこで、どんな物とも交換できる「標準交換品」のようなものが発明されました。
最初は、特殊な石や珍しい小物が使われましたが、信用度や交換レートの問題がありました。
やがて国家が形成されるようになると、国内流通促進と交換の信用度を上げる必要から、国家が価値を保証する貨幣が生まれました。
貨幣経済の始まりです。
 
貨幣は、軽くて便利で、保管場所も取りません。
強い国家の貨幣は信用度も高く、その力で経済圏が広がり国力が増強するという好循環を生み出しました。
 
こうした貨幣経済が発達してくると、ある一つの経済現象が起きてきます。
それは「蓄財」です。
初期の段階では、貨幣経済といえども物々交換経済であることには変わりありません。
自分の作った物を売って貨幣を得、その貨幣で欲しい物を買うのですから、間接的な交換経済です。
しかし、その交換にタイムラグが生じることで、「売る物の価格=交換貨幣=買う物の価格」とはなりません。
タイムラグを考慮すると、欲しい時に欲しい物を買うためには、多めの貨幣を蓄えておく必要が出てきます。
つまり、貨幣の「過剰蓄財」という現象が生じてくるのです。
そうなると、交換経済を円滑に回すためには、実際の取引額以上の貨幣が必要になります。
しかも、取引量は刻々と変化し続けます。
この変化に耐えうる貨幣の蓄財が雪だるま式に増えていきます。
近代では、実体経済の2.5倍の貨幣量が必要と言われています。
 
第1回は、入門解説ということで、ここまでにします。
次号以降、貨幣経済の発達からどのようなことが起きたかを考察し、その考察から、近未来の経済がどうなっていくかの予測を解説していきたいと考えています。
こうご期待。