論理思考は大切だが、もっと大切なことがある(1)

2022.05.16

「論理的に考えれば分かるだろう」と言われた記憶のある方は多いと思います。
論理思考とは、「1+1=2」のように、矛盾なく誰もが認める公式のようなものといえます。
もっとわかりやすく言えば、「水は高いところから低いところへ流れる」とか「優れた者は劣っている者より強い」も論理です。
このように、論理思考はとても大事な考え方なのですが、それを絶対視すると論理矛盾を起こすというパラドックスが生じます。
 
ロシアのウクライナ侵攻は「絶対に許されない暴挙」といえます。
ウクライナがロシアを攻めたわけではないからです。
しかし、ロシアは「これは、ドンパス地方でロシア系住民がネオナチに殺されていることを救う正義の戦いだ」という論理を振りかざしています。
日本でも、少数ですが「ロシアにも言い分がある」と主張する評論家がいます。
私は、そうした意見に賛同することが出来ませんが、問答無用と切り捨てることもできません。
では、どう考えたら良いのでしょうか。
 
女優の綾瀬はるかが主演したNHKの大河ドラマ「八重の桜」を覚えていますか?
幕末の会津藩がドラマ前半の舞台でした。
その中で会津藩の藩校の“掟”が語られていました。
「虚言(うそ)を言ってはなりませぬ」「卑怯(ひきょう)な振る舞いをしてはなりませぬ」・・と続き、最後に「ならぬことはならぬのです」でした。
綾瀬はるかの口から、やや舌足らずにこの言葉が出た時は、“かわいい!”となりますが、かつて、旧社会党の土井たか子委員長が国会で「ダメなものはダメ」と言い放った時と同じ言葉なのです。
この言葉は、どうにも論理的に説明できなくなった時に「問答無用」と自分の価値観を論理無用で押し通す言葉です。
 
つまり、論理破綻なのですが、時にはそれで押し切るしか無いということもあるという言葉なのです。
例えば、小さな子供に論理的な説明をして「それはダメだよ」と説いたところで、子供は理解できないでしょう。
なので、その時は「ダメなものはダメ」と親の価値観を押し付けても良いのです。
しかし、子供が反発したら、その言い分を聞く、さらに成長して自分の価値観を身に着けたらそれを尊重するということが大切なのです。
最初に親が強制的に価値観を押し付けることで、その子の中に一定の基準が出来、そこから自己形成が始まるのです。
その自己形成の過程を育み、成長に合わせた新たな課題を与え、さらなる成長を促すことが大人の役目なのです。
 
「論理思考は大切だが、その論理に縛られてはいけない」という矛盾をどう乗り越えていくかについて、
次回以降、少しお付き合いください。